前回の記事でチャイナマネーがマレーシア不動産に向かっているという話をしましたが、今回は日本不動産におけるチャイナマネーの動向について書きたいと思います。
すっかり消えてしまった「土地の買い占め」報道
2010年、日本では「中国人による土地の買い占め」という報道が見られました。一部の中国人富裕層が、日本の森林や水源を買い占めているといった内容です。
一部のメディアは不動産の購入目的に来日した中国人投資家に密着取材するなど、社会的にも大変注目されました。実際、北海道では中国人向けに開発したリゾート物件がすぐに完売するなど、本格的にチャイナマネーの到来を予感させました。
しかし、こうした報道も2011年3月の東日本大震災を境に、すっかり消えてしまいました。中国人をはじめとする外国人投資家が、地震や長引く原発事故処理を背景に、日本経済そのものに懸念を持ち始めたからです。
弊社も上海で中国人向け海外不動産コンサルティング業務を行っていますが、地震直前まで毎日のようにあった日本の不動産に関する問い合わせが、地震以降すっかりなくなってしまいました。
日本不動産投資は一時様子見ムード
こうした日本不動産投資離れは、2011年秋に上海で相次いで開催された海外不動産展覧会でも鮮明に反映されています。
2010年は、弊社もデベロッパーのアレンジャーとしていくつかの展覧会に参加しました。投資移民制度のある米国やカナダ、オーストラリアのブース同様、多くの来場者が日本不動産ブースを訪れました。
特に、東京の高級マンションや箱根のリゾート施設に興味を持った方が多く、展覧会後すぐに現地に視察に行くケースもあったほどです。