来年のIT市場全体の支出額は、今年から6.9%増えて1兆8000億ドルになり、このうち20%をスマートフォンやメディアタブレットといった新しいテクノロジーの製品やサービスが占めるようになる――。こうした予測を米国の市場調査会社が公表して話題になっている。
成長スピードはパソコンの6倍
それによると、これら新しい分野への支出額は今後年率18%で伸び続け、その成長率は2020年にIT業界全体の成長率の80%以上を占めるようになる。
IDCが予測している成長分野とは、スマートフォンやメディアタブレットのほか、モバイルネットワーク、ソーシャルネットワーキング、そしてビッグデータと呼ばれる大規模データの解析技術。これらの成長速度はパソコンやサーバーの6倍になるという。
このIDCの調査について触れている米ニューヨーク・タイムズの記事は、「もしこの予測が正しければ、IT業界は過去に例のない速さで次の時代に移行することになる」とし、「大型汎用コンピューターやミニコンピューター(家庭用冷蔵庫ほどの大きさだった)から、今のパソコンやクライアント―サーバーの時代に移り、マイクロソフトやオラクルなどの大手が生まれ、DEC(ディジタル・イクイップメント・コーポレーション)などが消えた」などと報じている。
今後10年の変化についても同様のことが言えるとIDCは見ており、同社の上級副社長兼主席アナリストのフランク・ジェンズ氏は、「2012年は今の大手が岐路に立たされる年」としている。
同氏が例に挙げているIT大手とは、米ヒューレット・パッカード(HP)、米マイクロソフト、米インテル、ドイツSAP、カナダRIM(リサーチ・イン・モーション)、米シスコシステムズ、米アップルなど。
来年の終わりには、これらのうちどの企業が10年後、業界リーダーの地位を保っているのか、あるいは転落するのか見通しがつくという。
10年後の明暗分ける転換点とされる来年の予測を見ると、例えばスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末は、出荷台数、支出額ともにパソコンを上回る。