「週刊NY生活」 10月8日 368号より
竹島問題で日本人学校提訴
ニュージャージー州の韓国人法務法人
ニュージャジー州在住の韓国系アメリカ人がこのほど、ニュージャージー日本人学校(児童生徒数81人、横澤広美校長)が使っている竹島(韓国名・独島)が日本領であると書かれた教科書の使用を中止するようにとの行政訴訟を米教育省、ニュージャージー州教育庁、オークランド教育委員会、ニュージャージー日本人学校を相手に起こしたとキム&ペ弁護士事務所(本社:ニュージャージ)が発表した。
教科書の竹島記述問題で、米国の政府や行政機関を相手取った訴訟は今回が初めて。
訴えを起こしたのはチェ・ジェイ氏という実業家で、代理人のキム&ペ弁護士事務所のスティーブ・キム弁護士によれば、州の承認を受け補助金も受け取る正規の私立学校でこのような教育が行われるのを防ぐため、訴訟を起こすことにしたとしている。
チェ氏の訴状によれば、ニュージャージー州およびオークランド教育委員会は偏向のない教育を提供すべきことを怠っているとし、ニュージャージー日本人学校への補助金などを打ち切るよう要求しているという。
ニュージャージー日本人学校の大迫俊浩教頭は「現段階では状況がつかめていないので、お話しする段階にない」としている。オークランド教育委員会は事実関係を確認中としている。
竹島は歴史的にも国際法上も日本の領土であるというのが日本政府の一貫した立場だが、韓国は1952年以来、実効支配している。竹島領有権問題に関して、これまで日本政府は幾度も国際司法裁判所への付託を韓国側に提案してきたが韓国側は拒否し続けている。
米教育省は本紙の問い合わせに対して「教育は州と地方が責任をもって行われる。どの教育機関に対しても、米教育省長官および職員が指図、監督すること、あるいは人事やカリキュラムの管理などを行うことは米教育省設立の際に議会によって明確に禁じられている。
学校設立や入学および卒業の認定基準、カリキュラム開発などは米教育省ではなく州と地方自治体が担う。訴状は受け取っていない」と回答した。
同教科書はニューヨーク日本総領事館を通じてニューヨーク州、ニュージャージー州の全日制日本人学校、補習授業校に配布されている。これら学校を運営管理するニューヨーク日本人教育審議会の若信弥会長は今回の問題について「ノーコメント」としている。
ニューヨーク日本総領事館広報センターの岩井文男所長は「ニューヨークの地において竹島の問題は、これまで何度も提起されるごとに反論を積み重ねてきているなかで、やり方の問題は別としてまさか、こんな日本人学校で出てくるとは思わなかった。問題が改めて提起され驚きを禁じ得ない。韓国政府が言っているわけではなく、韓国の実業家が言い出していることだが、それに対して何も言わないということではないと思うが、政府対政府とは違う点も含め、何がこの問題の解決に資するのか、弁護士とも相談したい」と話している。