11月4日、今年も民族主義者の集会「ロシア人マーチ」が全国で行われた。モスクワでは約1万人が参加した。
参加者たちは口々にこう叫んだ。「ロシアはロシア人の国である」「ロシア人に権利と自由を」「ロシアにロシア人の権力を」「コスモポリタンの政権を打倒せよ」「ロシアを略奪するな」「公正自由な選挙を」「ロシア民族を動員せよ」「アメリカのウォール街を養うな」・・・。
市役所はこの集会の開催を許可したが、町の中心の場所を使うことは許さなかった。結局、町外れの一区で開催された。
警察の監視は厳重だった。警察特務部隊が30台のバスで駆けつけて、数メートルおきに立ち、参加者たちの言動を見つめていた。警察のヘリコプターは空を飛んで、発言者の拡声器の声をさえぎっていた。
「モスクワをパリみたいにしてはいけない」
民族主義者の集会がそれほど厳しく監視されるのは、ロシアで民族主義が急激に高まっていることに加え、民族主義者たちの動きが今後のロシアの命運を左右する可能性があるからである。
20年前、共産主義の崩壊によって、ロシアのアイデンティティーにぽっかりと大きな穴が開いた。その穴を埋めようとしているのが、民族主義だ。
ロシアの人口構成の変化も、民族主義が盛り上がる原因の1つになっている。現在ロシアの人口は1憶4300万人で、ロシア人がそのうちの79%を占める。次に多いのはタタール人だが、たった4%しかない。ところがここ10年ぐらいの間に、ロシアの都市に非ロシア人の移民が増えている。
移民問題は複雑化しており、民族主義を先鋭化させる危険性を秘めている。