マイクロソフトは、全世界1億7400万の出版物へのアクセスがグーグル1社に集中してしまうのは危険と主張。「既に市場を独占している企業にさらなる利権を与えてしまうこの和解案では、自由競争が保たれない」としている。またプライバシー団体は、グーグルによる読者の書籍閲覧行動の監視が懸念されるとしている。
複数の争点が問題を複雑化
グーグル1社へ利益が偏ることを懸念するアマゾン・ドットコムのジェフ・ベゾスCEO〔AFPBB News〕
反対派が主張する問題点を整理してみるとおおむね次のようになる。
(1)世界中の作家からの明確な承諾が得られないまま、グーグルが書籍をデジタル化し、それを公開してしまうという問題
(2)作家などの権利保有者の行方が分からなくなっているいわゆる “孤児書籍” についても、グーグルが勝手に公開してしまうという問題
(3)司法省やマイクロソフトの主張にある、グーグル1社に多大な利益をもたらしてしまうという問題
特にマイクロソフトは検索市場におけるグーグルの独占状態を問題視している。グーグルの検索サービスだけが膨大な書籍を網羅でき、自由な市場競争を脅かすと猛反発している。
作家協会は、著作権はこれまで以上に保たれると説明している。作家はいつでも公開停止を申し込めるほか、利益が還元される。また「本の出版は、人々に読んでもらうことと、その報酬が目的。この取り組みによってその2つが絶版本にももたらされる」と述べている。
しかしこれに対し司法省は「書籍のデジタル化は素晴らしいが、この和解案がそのための最良な方法ではないところが我々の懸念するところだ」と反論している。
作家協会は、和解案には書籍の権利登録簿を作ることが盛り込まれているとも説明している。グーグルや作家協会が、世界中の個々の作家に個別交渉するのは不可能だが、この権利登録簿でそれが解決されるという。この登録簿の取り組みは、孤児書籍の作者の発見にも一役買うという。
利害関係者が世界規模で存在し、その業種、業態が多岐に広がっていることから、争点がいくつも生じているという状況が見えてくる。この争点の多さが、問題を複雑にしているようだ。
米ウォールストリート・ジャーナルでは、判決が出るのは数カ月後になるだろうという関係者の観測を報じている。この問題、解決はまだ先になりそうだ。
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