上司が指示を出し、部下がその指示を忠実にこなす。上意下達はビジネスシーンでは当たり前の光景だ。しかし、これを実施していない会社がある。岐阜県輪之内町に本社を置く未来工業だ。同社では、上司の指示を待たずに現場の人間が自分で考え、自分で判断し行動している。

従来の教育形態にとらわれない

 未来工業は、住宅などに使われる電気関係の設備素材、電気設備資材、給排水設備およびガス設備資材の製造販売を行っている。商品数は約1万9000種類あり、その中でもスイッチングボックスのシェア率は80%以上を誇る。

 現在、未来工業に所属している社員は約780人いるが、そのすべての社員に徹底して教え込まれているのが「自分で考え自分で動く」ということだ。現在の企業では当たり前になっている「ホウ・レン・ソウ」はここにはない。

 ほかの企業が当たり前にやっていることをせずに、会社が機能し、業績を上げている理由は一体どこにあるのだろうか。

「ホウ・レン・ソウ」は中小企業にはふさわしくない!

 現在ほとんどの企業では、新入社員研修で、まず「上司への報告・連絡・相談は欠かさないように」と教育をしているはずだ。いわゆる「ホウ・レン・ソウ」である。

 しかし、未来工業ではその「ホウ・レン・ソウ」を全く必要としていないという。瀧川克弘社長の考えはこうだ。

 「ホウ・レン・ソウ」は確かに情報の伝達手段として優れてはいる。部下から上げられた情報を上司がきちんと掌握し、その情報に基づき部下に指示を出し、その指示を受けて部下が動く。一見スムーズだが、中小企業においては管理システムと部下育成の2点から、疑問があると瀧川社長は言う。