1月21日米国オバマ大統領が突如として発表した金融規制強化案は、立案の立役者ポール・ボルカー氏の名をとって、早速「ボルカー・ルール」と呼ばれている。
米国では、発表の中身はともかく時期の選び方に、選挙イヤーの政治的打算を読み取ろうとする向きが多い。政権の命運を決する中間選挙まで、正味あと9カ月しかない。
民主党王国マサチューセッツ州での敗北がオバマを走らせた?
米マサチューセッツ州の上院議員補欠選挙で勝利した共和党のスコット・ブラウン氏(上)と敗北した民主党のマーサ・コークリー同州司法長官(下)〔AFPBB News〕
規制発表の数日前、民主党でなければ人にあらずの州、マサチューセッツの上院議員補欠選挙で、それも物故したテッド・ケネディ上院議員の弔いとなる選挙で民主党候補がまさかの敗北を喫してさえいなければ、大統領は果たしてこの時期を選びボルカー・ルールに乗っただろうか。
怪しいものだと疑う向きは、またしてもオバマ政権の人気取り政策ではないかと思いたがる。
ウォール街をぶっ潰せと叫んでおけば、当座は正義の味方になれるからだ。高額賞与にありつく懲りないバンカーたちは、悪役にうってつけでもある。
ちなみに2008年(リーマン・ショックの年)、ゴールドマン・サックスの最高経営責任者(CEO)が得た報酬総額は約4295万ドル。ざっと40億円だった。
けれども82歳のボルカー氏に、今さら政治的計算はない。昨年のサンクスギビング・デーにプロポーズし、長年秘書として仕えた女性と結婚もした。
まだ欲しいものが残っているなら、信じる道を貫いて、不可能な政策を可能にしたという満足感だろう。legend(伝説的声望)かもしれない。
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