中国青海省の南部、いわゆるチベット高原と呼ばれる、チベット自治区との境界線となるタングラ山脈北面にその源流を発するメコン川。 中国雲南省を経由し、ミャンマー、ラオス、タイの各国境線を流れ、カンボジア、ベトナムを貫き、南シナ海に抜ける。 世界有数の国際河川である。

成長著しい大メコン地域経済圏

メコン川の堤防決壊、8人死亡 - カンボジア

カンボジアの首都プノンペンを流れるメコン川に飛び込む子供〔AFPBB News

 総全長は4000キロを超え、その流域には世界的に見ても最も多様性豊かな生物群が育まれているという。流域人口7000万人以上とも言われる人々の生活を歴史的に支え続けた大河である。

 そのメコン川中流・下流域に位置するインドシナ5カ国(タイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー)に、上流域の中国雲南省を加えた地域が、「大メコン地域経済圏」(The Greater Mekong Sub-region, GMS)と呼ばれる。

 その経済圏としての成長可能性から、近隣諸国のみならず広く海外からの注目を集めている。

 「当該流域の5カ国+1地域は、その地域で従来続けてきた伝統的な農業経済から、さらに多様化した市場経済に徐々に移行しつつある」

 「国境貿易のバリアフリー化の推進、投資・労働力の移動簡易化など、6カ国の商業的協力関係が、当該流域外の諸国との関係よりも意図的に優先進捗される」

タイとベトナムにはさまれた小国、カンボジア

カンボジアの首都プノンペン

 こうした事実と観測の混在した成長ポテンシャルへの見込みが、そもそもアジアを成長エリアとして有望視していた企業、投資家をより強くGMSに惹き付けている。

 中でも、まさにこの1~2年ほど前から、にわかに日本企業、日本投資家から脚光を浴び始めている国が、インドシナ半島の中部、タイとベトナムにはさまれた地域に位置する小国、カンボジアである。

 すでに長期間にわたり現地での経済活動が続けられ日本にとってなじみが深くなっているタイ、ベトナム。一方、まだ政治体制やインフラ整備状況などが風聞ベースで不安視されるラオス、ミャンマー。

 カンボジアは、当然後者チームに分類される国、というのが一般的に抱かれているイメージだと考えられるが、昨今は従来イメージとは違った様相を見せ始めている。