音楽配信サービスの米ラプソディー・インターナショナルが、家電小売大手の米ベストバイから、同社子会社の「ナップスター」を買収すると発表した。

 ラプソディーはナップスターの顧客基盤や、知的財産権、音楽配信権などの資産を引き継いでサービスの拡充を図る一方、ベストバイはラプソディーに一部出資する。取引金額などの詳細は明らかにしていないが、11月末をめどに買収手続きを完了する見込みという。

数奇な運命辿るナップスターとラプソディー

 ナップスターと言えば1990年代後半に、無料の音楽ファイル交換サービスとして物議を醸したサービス。海賊版の温床と非難され、レコード会社や全米レコード協会から提訴されて、一時サービス停止に追い込まれた。

 その後CD-ROM/DVD作成ソフトなどを手がけるロキシオという米企業に買収され、有料の音楽配信サービスに転換した。このロキシオはやがてCD-ROM/DVD作成ソフトの事業を売却し、社名をナップスターに変更しサービスを運営していたが、2008年にベストバイが約1億2100万ドルで買収した。

 一方のラプソディーはその前身が、音声ストリーミング配信技術を手がける米リアルネットワークスの音楽配信事業。定額の利用料金で音楽を無制限に楽しめるサブスクリプション形式を初めて導入したサービスとして知られている。

 しかし、2003年に米アップルが「アイチューンズ・ミュージック・ストア(iTunes Music Store)」を開始すると、1曲、あるいはアルバム単位で楽曲を購入するスタイルが定着し、ラプソディーなどの定額制サービスは苦戦した。

 ラプソディーは、2007年からリアルネットワークスと、米メディア大手バイアコム傘下のMTVネットワークスの合弁事業「ラプソディー・アメリカ」としてサービスを運営していたが、2010年に両親会社から分離・独立し「ラプソディー・インターナショナル」として再スタートしている。