2009年8月下旬、数年ぶりにエジプトの首都カイロを訪れた。真夏のカイロで、一番ホットな話題は「新型インフルエンザ」だった。(本文中のAFPBBB Newsのクレジットのない写真は筆者撮影)

 実は、イスラムの人々がインフルエンザに神経質になっていたのには理由がある。筆者がカイロを訪れたのは、ちょうど、今年のラマダン(断食月)が始まる時期に当たっていた。この期間は、世界中からイスラム教徒が聖地・メッカ(サウジアラビア)を目指して集まり、再び、世界中に散っていく。

イスラム諸国、メッカ発のインフル流行を警戒

イスラム諸国でラマダン終了、当局は新型インフルに警戒

イスラム世界でも、インフルエンザ警戒モードが高まっている(ラマダン明けの祭りでマスクをする少女たち エジプト・マンスーラ)〔AFPBB News

 巡礼の人々でごった返すメッカの町は、インフルエンザウイルスにとっては絶好の環境だ。「もしかしたら、巡礼帰りのお隣さんは、インフルエンザに感染しているかも・・・」という警戒感が人々の間に広がっているのだ。

 ラマダンが始まる約1カ月前の7月22日には、アラブ各国の保健相がカイロに集まり、高齢者や子供の巡礼禁止を打ち出した。実は、6月に巡礼から帰国した20代のエジプト人女性が新型インフルエンザに感染して死亡した。

 このため、聖地が発信地となり、世界中のイスラム社会でインフルエンザが蔓延するような事態は避けなければならないとの判断があったのだろう。

イスラム教徒にとって、祈りは生活の一部

 アラブ各国は空港での検査を強化、インフルエンザ患者の入国を阻止するなど、水際対策に万全を期している。また、一般の人が「マスク」をする習慣が無いカイロで、マスクをする人をチラホラと見かけるほど、一般の人の間でも警戒モードが高まっている。

 その一方で、「巡礼制限に反対!」のデモも行われており、改めて、イスラム社会の変わることのない信仰の篤さを思い知らされた。

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 しかし、変化の波は、いつまでたっても変わらないと思われてきたこの国の政治にも忍び寄っている。