2011年7月24日12時00分、地上波アナログ放送は停波した。それに伴い、受像機であるテレビ端末はアナログテレビからデジタルテレビへと変化した。
JEITA(電子情報技術協会)によれば、デジタルテレビの累計国内出荷台数(2011年6月まで)は7800万台を超えている。
テレビ端末市場では、エコポイントなどの需要喚起策により、将来の買い替え需要の先食いが起こっていると言われる。需要の先食いを補填する端末として注目されているのが「スマートテレビ」である。
先行して地上波放送のデジタル化が進んだ米国では、デジタル化以降、インターネットに接続できるテレビが普及し始めている。米国のテレビ端末市場でシェア1位の韓国サムスンが「サムスン Smart TV」という名称でテレビ端末を発売し、「スマートテレビ」という名称が広く認知された。日本でも2011年に入ってから、スマートテレビへの注目度は高まっている。
とはいうものの、いまだスマートテレビについての明確な定義はされておらず、名前だけが先行している状況にある。
この論考では、スマートテレビの定義を行い、2011年に野村総合研究所(以下、NRI)が行った自主調査の内容を基に、スマートテレビが本当に普及し得るのか、普及した上でどのような影響を関連業界に及ぼすのかをまとめていきたい。
スマートテレビが保有する2つの機能
まず、「スマートテレビ」とは、以下の2つの機能を保有するテレビ端末、またはセットトップボックスなどのテレビ周辺機器と定義する。
(1)インターネット経由の映像をテレビ画面で視聴することが可能
(2)高い処理能力を持つCPU(Central Processing Unit;中央処理装置)が搭載され、スマートフォンのようにゲームなどのアプリをテレビで利用することが可能
「インターネットテレビ」とは、上記の機能のうち、(1)のみを保有するテレビ端末、またはセットトップボックスなどのテレビ周辺機器と定義する。