9月になると、街全体が目が覚めたように活気づくパリ。あちらこちらで見本市や様々なイベントが開かれている。そんな中、さすがは美食の都ならではというイベントが開かれている。

パリ上空50メートルに舞い上がった特設レストラン

 その名は「dinner in the sky」。パリの中心部にあるチュイルリー公園で、空中に浮いた状態で食事を楽しむというもので、「Cuisine Créative(キュイジーヌ・クレアティヴ)」という雑誌の主催による。

上空レストランをまず自ら体験するパリきっての有名シェフたち

 二十数人がテーブルを囲めるようになったプレートを地上50メートルまでクレーンで吊り上げるという設定も奇想天外だが、食事の内容も半端ではない。もてなすのはフランスを代表する星つきシェフ10人。

 さらに、フランス大統領府エリゼ宮の厨房を1974年から預かってきたシェフと、「ホテル・リッツ」のバー「ヘミングウェイ」のバーマンも参加するという、まさに前代未聞の試みだ。

 会期は9月11日から15日までの5日間。その間の毎日、ランチ2回(12時~、13時半~)、ディナー3回(19時~、20時半~、22時~)を代わる代わる担当するシェフの顔ぶれにも驚かされる。

有名シェフたちを乗せてレストランはパリ上空へ

 日本でもおなじみのピエール・ガニエール、「ル・ムーリス」のヤニック・アレノ、「アルページュ」のアラン・パッサール、「プレ・キャトラン」のフレデリック・アントン、「ル・グラン・ヴェフール」のギー・マルタン、「ホテル・リッツ」のミシェル・ロットらは、いずれもパリのスターシェフだ。

 このほか、アヌシーのマーク・ヴェラ、ポーラックのティエリー・マークス、ソーリューのパトリック・ベルトロン、カンヌのクリスチャン・シニクロピと、フランス地方の名店を率いるシェフも参加する。

 初日の午前中に開かれたプレス発表では、これらのシェフが勢ぞろいして、彼ら自身がまず空のレストランの座り心地を体験するというので、たくさんのメディアが駆けつけていた。

 この日の朝はうす曇り、肌寒く、風の当たるのが気にかかる。羽織っていたコートを脱いで、目にまぶしいほどの白さの仕事着姿になったヤニック・アレノ氏に、このイベントについての質問を向けると・・・。