韓国の物流最大手、大韓通運の買収合戦で、サムスングループ企業と、サムスングループから分離したCJグループが激突した。ともにサムスン創業者が設立した両グループは、これまで少なくとも表面的には友好関係を維持していたが、今回は珍しく一時は感情的なコメントまで飛び交う事態になった。

 2010年6月27日締め切りの買収入札には、ポスコ-サムスンSDSの企業連合とCJグループが参加した。CJグループは、もともとサムスングループから分離した「親戚財閥」で、両グループがM&A(企業の合併・買収)で争うのは恐らく初めてだ。

奇怪な買収合戦

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身内の争いに敗れたサムスン〔AFPBB News

 買収戦は、CJグループが高値を提示して優先交渉権者に選ばれ、勝利した。身内の争いに敗れたサムスングループにとっては後味の悪い結果になった。

 なんとも奇怪な買収合戦だった。

 大韓通運は、2010年の売上高2兆5546億ウォン(1円=13ウォン)、営業利益1546億ウォンの優良企業だ。

 同社は無理な拡大策で経営難に陥り、2007年にアシアナ航空などを傘下に持つ錦湖アシアナグループが4兆ウォン以上の資金を投じて買収した。ところが、今度は錦湖アシアナグループが経営危機に陥り、債権金融機関が約38%分の大韓通運保有株の売却先を探していた。

 当初買収に名乗りを上げていたのは、ロッテグループ(直前で入札参加を見送り)、ポスコとCJグループの3者だった。

 ロッテとポスコは日本でもなじみの深い企業だが、CJとは一体どんなグループか。

サムスンに勝ったCJグループとは

 CJは、韓国語で第一製糖(チェイルチェダン)のイニシャルが由来で、製糖業からスタートしている。創業者は李秉喆(イ・ビョンチョル)氏。サムスン創業者で、第一製糖もサムスングループの中核企業だった。

 サムスングループの後継会長になった李健熙(イ・ゴンヒ)氏が李秉喆氏の三男だということは、よく知られている。

 李秉喆氏は、サムスングループの経営権は李健熙氏に継承したが、のちのち紛争が起きることを防ぐため、他の子供たちにそれぞれ一部事業を継承させて「分割世襲」させた。