自らを「ラルズセキュリティー(Lulz Security)」あるいは「ラルズセック(LulzSec)」と名乗るハッカーグループが突如として活動を停止するという声明を出し、米ウォールストリート・ジャーナルなどの有力紙もこの話題をこぞって取り上げている。
最後に盗んだ情報をネットに公開
6月25日にネットに公開された声明文によると、ラルズセックは「我々が計画していた50日間の航海はこれで終わった。これから遠くへ去らなければならない」などとし、同時にツイッターへの投稿で、同グループの活動に賛同するハッカーらに向けて、別のグループである「アノニマス(Anonymous)」に参加するよう呼びかけている。
ラルズセックは、ソニーグループや米連邦捜査局(FBI)、米中央情報局(CIA)などのウェブサイトに対してサイバー攻撃を仕掛けたのは自分たちだと主張しているハッカーグループで、この2カ月近く世間を騒がしてきた。
活動停止の理由については明らかにしていないが、最後に、ネットから盗み出したという書類を公開している。
ウォールストリート・ジャーナルによると、その中には、米AT&Tの次世代通信サービスに関する技術詳細資料や、米AOLのネットワーク管理に関する技術マニュアル、FBIの報道担当部門のサイトから盗み出したと見られる書類、人気オンラインゲームの50万人分のユーザー情報などがあるもようだ。
ラルズセックは愉快犯、危険を察知して雲隠れ
セキュリティの専門家によると、サイバー攻撃を仕掛けるハッカーグループには2つのタイプがある。1つは政治的な主張や抗議活動を行うグループ。もう1つは単純に世間から注目されることを楽しむタイプ。つまり愉快犯だ。
昨年、米アマゾン・ドットコムなどが、内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」の行為に異を唱え、米政府の要求に応じてウィキリークス向けサービスを停止したが、その際にアマゾンなどのサイトを攻撃したのが前述のアノニマスというグループで、これは前者にあたると見られている。