米シリコンバレーのベンチャー企業が、撮影時にピント合わせをする必要がない画期的なカメラを開発したと発表し、米国のメディアがこの話題を大きく取り上げている。

 米グーグルと同じく、マウンテンビューに本社を置く「ライトロ(Lytro)」という企業が開発したもので、このカメラで撮影した写真は後から自由にピントの合う場所を変更できる。

 同社はデモの写真を公開している。例えばここにある写真では、奥に写っている人物をクリックすると、ぼやけた人物にピントが合い、手前の花はぼける。手前の花をクリックすると今度は花にピントが合い、人物がぼける。

すべての光線情報をカメラに記録

 これは「光照射野技術」を使ったというもので、同社によると被写体となる場面のすべての光線(光照射野)の情報をとらえてカメラに記録しているという。単純に様々な光線の情報を合体して1つの光線として処理する従来のカメラとは大きく異なると説明している。

 利用者側のメリットとしては、ピンボケ写真がなくなり、撮影後はいつでもピントを修正できる。また撮影時に焦点を合わせる必要がないため、 シャッターラグをなくせる。

 このほか、ユーザー同士がネット上で操作できるインタラクティブな写真が作れたり、すべての光照射野を利用できるため、従来とは比較にならないほど臨場感のある3D写真が撮れたりするという。

ニューヨーク・タイムズは、従来であれば100台のカメラを大型コンピューターにつないで実現する技術だが、ライトロのカメラの大きさはオートフォーカスカメラと同程度と報じている。