米IBMがこの6月16日に創立100周年を迎えたが、米ニューヨーク・タイムズは、かつてメーンフレームコンピューター企業として情報技術産業のトップに君臨した同社は1990年代のパソコンの普及とともに経営危機に直面した後、見事に復活したと報じている。
市場を支配した後、やがては、産業、市場構造の転換を迎え、主力製品のシェアは低下していく。そうした状況に直面した企業は自らを再構築することになる。
新しい経営陣が起用され、数千人もの従業員が解雇される。苦痛に満ちた航海は、長期に事業を継続していこうとする企業には遅かれ早かれ必ずやって来る。IBMの歴史には米マイクロソフトや米アップルも学ぶべきことが多くあると同紙は伝えている。
成功体験があるにもかかわらず、環境に合わせて自らを変化させていくのは非常に困難なこと。とりわけ、急成長が比較的容易で、技術革新のスピードが速いテクノロジー業界では、なおさらのことだという。
メーンフレームから、ソフト、サービス企業に
かつてメーンフレームコンピューターが主力事業だったIBMは、今ではソフトウエア/サービスの企業へと変容を遂げている。同社の成功の背景には、過去に築いた財産を捨てることなく、その基盤の上に新たな資産を構築したことにあると同紙は指摘している。
その資産とは、技能や技術、マーケティング資産のこと。
これらを新しい事業に向けて移行したり修正したりすることが重要という。IBMの場合は、長年にわたる顧客との強力な関係、科学技術の研究開発力、ハードウエア、ソフトウエア、サービスに関する、ほかに類を見ない専門的な知識があったという。
また同紙は、IBMのメーンフレームを取り巻く様々な技術が今日の同社に恩恵をもたらしたとも分析している。現在のIBMにおけるメーンフレームの収益は全売上高の4%にも満たない。