かねて伝えられていた米アップルのクラウドサービス「アイクラウド(iCloud)」が6日、スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)によって正式に発表され、話題を呼んでいる。
音楽や画像を自動保存、データセンターで管理
これは、同社のスマートフォン「アイフォーン(iPhone)」やタブレット端末「アイパッド(iPad)」、パソコン「マック(Macintosh)」などのアプリケーションと連携し、音楽や画像などのコンテンツをアップルのデータセンターで管理するというサービスだ。
文書ファイルを自動保存するストレージサービスや、アイフォーンなどのモバイル端末のデータを保存するバックアップサービス、写真を一時的に保管する「フォトストリーム(Photo Stream)」、音楽配信サービスと連動する「アイチューンズ・イン・ザ・クラウド(iTunes in the Cloud)」などで構成され、これら各サービスの総称が「アイクラウド」になる。
全てのサービスに共通することは、モバイル端末をケーブルでパソコンとつないでデータを同期するというこれまでのアプローチとは異なり、データは無線でデータセンターに自動送信され、ユーザーが持つ別の機器に自動送信されるという点。
「何も意識することなく機器間で様々なデータを常に最新の状態に保つことができる」というのがアップルの売り文句だ。サービスは一部を除いて無料で利用でき、この秋に予定するモバイル端末向け基本ソフト(OS)の最新版「iOS 5」のリリースに合わせて正式版を開始する。
ユーザーの音楽と合致させる「iTunes Match」
この中で今メディアを最もにぎわしているのが、アイチューンズ・イン・ザ・クラウドの有料オプションサービスとして米国で始める「アイチューンズ・マッチ(iTunes Match)」だ。
アップルの新サービスでは、ユーザーが同社の音楽配信「アイチューンズ・ストア(iTunes Store)」で購入した楽曲は追加料金なしでほかの機器にもダウンロードできるようになる。
しかしこのオプションサービスを利用すると、アップル以外から入手した楽曲ファイルもダウンロードできるようになる。
これは、先に報道されていた「スキャン&マッチ」という方式のサービスだ。ユーザーの機器に保存されている楽曲ファイルをスキャンし、アイチューンズ・ストアで配信している約1800万曲と照合し、合致したものをダウンロード可能にする。