健康管理のためのウェアラブルデバイスは腕時計型が主流だったが、今後はそれ以外のバリエーションも増えていくに違いない。昨年日本でも発売され、アマゾンでも5万円程度で購入が可能な指輪(リング)型のデバイス、フィンランドoura社の「oura ring」はアプリとの連動で発熱状況も確認できるので、新型コロナの初期の発熱を感知するのに役立っている。また、米BioIntelliSense社の「BioButton」(CES 2021 イノベーションアワード受賞)は肌に装着するタイプのデバイスである。米国のFDA(食品医薬品局)認証も受けており、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)のガイドラインに沿ったバイタルデータによる健康管理も行えるという。

 CTAはデジタルヘルスを今後、最も成長が見込まれる分野&成長してほしい分野と位置付けているようだ。裏を返せば、医療やヘルスケアの領域にはペインポイント(患者が感じるストレス)が山積していて、デジタル化によってCX改善の余地がそれだけ大きいということなのだろう。

 CTAによれば、今後、デジタルヘルスでイノベーションの加速が期待される分野として「ロボットによるトリアージ(搬送や治療の優先順位づけ)補助」「AI診断」「製薬におけるXRの活用」などがありそうだ、という。

指輪型や皮膚装着型の健康管理ウェアラブルデバイス
(出典:CTAのメディア向け資料より)

【DX】(注目)

 ここでCTAが言う「DX」とは主に「家の中でのデジタル革命」を意味する。新型コロナ感染拡大の影響で「巣ごもり生活が続く中、家庭をいかに快適な場所に変えるか」というBtoC型の提案が際立っていたように感じた。

 具体的には「家庭の消毒や空気清浄のためのロボットの活用」「食材の調達・管理から料理レシピ提案までを行ってくれるインテリジェントな冷蔵庫」、そして「スポーツや音楽などを家庭で存分に楽しむためのエンタメ技術の開発」などである。

 消毒や空気清浄ロボットはLGの「CLOiUV-Cロボット」と次世代「LGPuriCare」ライン、AI掃除ロボットではサムスンの「JetBot 90 AI+」が、またインテリジェントな冷蔵庫でも(ここ2~3年の流れを受けて)韓国のこの2社の提案が目を引いた。

 エンタメ技術では、コロナ感染防止対策でスタジアムやコンサート会場へ行けないという前提の中、家庭でいかにライブの臨場感を再現するかという観点だけでなく、デジタル技術を駆使してリアルでも味わえない、新たな感動体験をいかに生み出すかという観点も強調された。

 ソニーが発表した「マディソン・ビアー イマーシブ(没入)リアリティ・コンサート」はフルモーションCG映画やゲーム、CGアニメの技術をふんだんに取り入れた取り組みである。数十台のカメラでアーチストのマディソン・ビアーを3Dスキャンして、本物としか思えないアバターを作成、さらにその動きをモーションキャプチャして、バーチャルなソニーホールの空間にリアルタイムレンダリングで降臨させるという壮大なチャレンジである(このプロジェクトにはベライゾンがコラボしている)。

(参考)Boundless by Sony マディソン・ビアーが創る没入型コンサート体験
https://www.youtube.com/watch?v=my_Byj82slQ&feature=emb_logo

 5Gを牽引するベライゾンが基調講演の中で紹介した、NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)と組んで導入を進めている「スーパースタジアム・エクスペリエンス」もスタジアムの臨場感を家庭で味わえるだけでなく、5Gの測位誤差10センチ以下という特性を利用して、グラウンドレベルのプレイヤー目線でゲーム中の選手のファインプレイを正確に再現できるという感動体験創出型のサービスになりそうだ。

ベライゾンがNFLと組んで導入を進めている「スーパースタジアム・エクスペリエンス」(出典:CES2021のYouTubeチャネル)

【ロボティクス&ドローン】(やや注目)

 昨年のCES 2020までラスベガス・コンベンションセンターの南ホールで一大勢力を形成していたDJIを筆頭とする中国のドローンメーカーが知財問題や米国内での特許裁判の影響でCES 2021への出展を見合わせたことによって、ドローン市場の勢力図は今後少なからず変わることになりそうだ。