CES 2020の自動運転コーナーに出展したアマゾン。音声認識AI・アレクサで人間と自動運転車のコミュニケーション領域を押さえること、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を自動運転のモビリティ・クラウドとしても展開することが基本戦略と見られてきた(筆者撮影、以下同)

(朝岡 崇史:ディライトデザイン代表取締役)

アマゾンが自動運転のズークスを買収

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによって外出規制や在宅勤務が常態化し、「巣ごもり消費」が人々の生活の「ニューノーマル」として定着する中で、ネット通販企業の業績がすこぶる好調だ。

 米アマゾン・ドット・コム(以下アマゾン)が発表した2020年1~3月期の決算は売上高が前年同月比26%増の754億5200万ドル(約8兆900億円)とこの時期としては過去最高を記録した。また、小売業としては世界最大規模の米ウォルマートも2020年2~4月期のネット通販部門の売上高が同74%増(前年同期の伸びは37%増)と急伸したとリリースした。

 このような状況の中、6月26日に飛び込んできたのが、アマゾンによる自動運転技術開発の有力新興企業ズークス(Zoox)の買収だ。

 買収額は英『フィナンシャル・タイムズ』によると12億ドル(約1300億円)を超える見通しという。

 ズークスは2014年、スタンフォード大学出身の技術者 ジェシー・レヴィンソン、ティム・ケントリー・クレイが起業したテック企業。ライバル企業から優秀な人材を引き抜くことで、短期間で900人を超える従業員を抱える規模までに急成長した。