主催者CTAが指摘した6つのテックトレンド

 さて、「CES 2021テックトレンドウォッチ」で主催者のCTAが掲げた今年のキートレンドは以下の6つである。

2021 Key Trends出典:CTAのメディア向け資料より

・デジタルヘルス
・DX(デジタルトランスフォーメーション)
・ロボティクス&ドローン
・ビークル(車両)テクノロジー
・5Gコネクティビティ
・スマートシティ

 一瞬、意外に思ったことは、データ時代を牽引してきたAIやIoT(CES 2020でCTAはIoT=「Intelligence of Things」であるとわざわざ再定義した)が6つのキートレンドに入ってないことである。このことについてはCTAから特段に解説はなかったが、個々のカテゴリーを見ていくと、どれもAIやIoTとは不可分であることに気づく。つまり「AIやIoTは要素技術として先進テクノロジーの全てのカテゴリーに溶け込んでいる」と考えると腹落ちできるのではないだろうか。

 それでは、6つそれぞれのカテゴリーごとに、CES 2021における気になる動向や、筆者が目についた企業の取り組みについて順を追って紹介して行きたいと思う。

【デジタルヘルス】(大いに注目)

 今年のCES 2021イノベーションアワードを受賞した「Epsy」(英Epsy社)はてんかん患者・介護者・医療従事者を支援するアプリを活用したデジタルヘルスプラットフォームである。てんかんの発作、服薬コンプライアンス、トリガーの追跡などのために豊富な日記データを作成・共有することで、てんかんという不意に襲ってくる疾病の管理を少しでもしやすくしようとするのが狙いである。

 また、会期初日のメディアデーから存在感を放っていたのが日本のオムロンヘルスケアである。同社の循環器疾患事業ビジョン「ゼロイベント(脳・心血管疾患の発症ゼロ)」実現を目指した取り組みとして、昨年から米国で実証実験を進めていた遠隔での高血圧患者モニタリングサービス「VitalSight」(バイタルサイト)を発表した。高血圧患者が通信機能付きの血圧計や体重体組成計を使い、自宅で測定したバイタルデータを病院の電子カルテを介して医師や看護師と共有できるシステムである。このシステムを活用することで、患者と医療チームが直接面談することなく日々の体調を記録/通知することができ、また、日常での体調の変化をリモート環境下でもタイムリーに確認し介入できるようになるという。コロナ禍で定期的な通院が必要な高血圧症等の慢性疾患の患者の、通院による感染リスクの軽減にも貢献することができる。

 高血圧やそれに由来する脳や心血管系の疾患は死因の上位を占める重大な慢性疾患であり、患者が使いやすく、技術的・経済的な課題さえクリアされれば、患者の治療や生活習慣改善に向けて大きなイノベーションにつながる可能性が大きい。

オムロンの「VitalSight」のコンセプト(出典:オムロンブースのプレゼンテーション映像)

 CESの常連、フィリップスはCES 2018あたりから「家電」業から「デジタルヘルスケア」業への「なりわい」転換を鮮明にした企業である。インテリジェントプロセッサー「SenseIQ」とAI技術によってオーラルケア、ヘアケア、睡眠対策などデジタルヘルスケア商品を横展開して行くのが同社の戦略のようだ。今回発表した「PhilipsSonicare 9900 Prestige」はユーザにあった歯磨きのアドバイスをスマホのアプリ経由で提供するだけでなく、ユーザのニーズに直感的に適応することが可能になっているという。ちなみにフィリップスのコーポレートスローガンは「Together, we make life better.」である。