NTT 島田明代表取締役社長 社長執行役員 CEO写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ
「失われた30年」と言われる日本経済。しかし、逆境下でも成長し続ける企業がある。彼らはなぜ躍進を続けるのか。停滞する企業との決定的な違いは何か。184社の日本企業の業績を基に、強い企業の共通点を導き出した『高成長体質になる』(日経BP)から一部を抜粋。ベイカレント 常務執行役員の則武譲二氏がキーパーソンへのインタビューを通じ、高い成長率を誇る企業が備える「組織能力」を解き明かす。
巨大組織NTTはいかにして危機感を保ち、変革を続けてきたのか。「平時はない」と語る島田明社長の言葉から、変革を支える考え方と仕組みを探る。
NTT
「平時」と思った途端に負ける
前向きな気迫で激しい環境変化に勝て
『高成長体質になる』(日経BP)
島田明氏
1981年日本電信電話公社(現NTT)入社。NTTヨーロッパで副社長として、NTTで初めてとなる国際通信ネットワークサービスの構築・営業に携わる。2007年西日本電信電話財務部長、2011年東日本電信電話取締役総務人事部長を経て、2015年NTT常務取締役、2018年代表取締役副社長。2022年から現職。
――NTTグループのような巨大組織が環境に応じて事業ポートフォリオを変えるのは、非常に難しいことだと思います。それができたのはなぜですか。
島田 我々はテクノロジーをベースにした事業を手掛けています。テクノロジーは先行きを予想するのが難しい上、進化するのもピークアウトするのも速い。このような市場では、常に自分たちが変化していないと競争優位性がすぐに劣後してしまう。「ダイナミック・ケイパビリティー(企業変革力)」を高めることを常に意識しています。
ただ、大きな組織は慣性力が働くので急には曲がれません。変えたい方向にKPIをセットし、時間をかけて動かします。一方で新規事業は小ユニットで進めます。例えば、ある研究を事業化に向けて動かそうとするときは、本体から切り出して別会社にするといったことです。小さな組織では「うまくいかなかったら潰れてしまう」という危機感や、荒波を乗り越えようという共通の価値観が醸成されるので、覚悟を持ってチャレンジしてくれます。
――小さな組織での価値観醸成を強めるために必要なことは何だと考えますか。
島田 長い目で見る必要があるので、KPIによる管理手法は合いません。そのため、メンバーに気迫があるかどうかを重視します。気迫は事業成長の大きな要素だと思います。






