写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ
日本は経済規模で世界第4位を誇る一方、幸福度では55位にとどまっている。この大きなギャップを「ウェルビーイング」という視点で捉えると、日本社会が抱える深刻な課題が浮かび上がる。幸福と経済をどう両立させるのか。『ウェルビーイングのジレンマ』(デロイト トーマツ グループ著/日経BP)から内容の一部を抜粋・再編集、有識者や先進企業の事例を元に解決策を探る。
顧客・社員の幸せと利益を両立させる丸井グループの取り組みを、同社チーフウェルビーイングオフィサー(CWO)の小島玲子氏に聞く。
丸井グループにおけるウェルビーイング経営とは
『ウェルビーイングのジレンマ』(日経BP)
――ウェルビーイング経営について教えてください。
小島 丸井グループでは、ウェルビーイング経営を「六つのステークホルダーの利益としあわせの重なりの拡大」と定義しています。2021年には中期経営計画で全社KPIを設定し、ウェルビーイング経営のテーマと財務KPIを連動させて推進しています(次ページ・図2-8参照)。
社員向けの施策では、「手挙げの文化」という、自らの意志でプロジェクトや役割に挑戦する風土があります。これは15年以上続いていて、今では88%の社員が自ら手を挙げて何かしらのプロジェクトに参画したり役割に立候補したりした経験があります。
ステークホルダーとの共創を通して新たなビジネス・サービスの創出にも取り組んでいます。
例えば、「一人ひとりの『好き』を応援するカード」という、これはお客様が趣味や関心に応じて券面デザインや特典を選択できるクレジットカードです。
社員が自身にとっての「好き」を対象にファンと同じ目線で企画し、アニメやスポーツなど様々なデザインを展開しています。まさにお客様の「好き」と社員の「好き」が重なり、利益との両立を目指しています。






