Fujita Office代表 元キユーピー上席執行役員 ロジスティクス、IT業務改革推進担当の藤田正美氏(撮影:宮崎訓幸)

 物流と地球社会を持続可能にするために、今何が必要なのか。デジタル先端技術から経営戦略まで、世の誤解・曲解・珍解を物流ジャーナリスト・菊田一郎氏が妄想力で切りさばく連載企画。

 今回は、キユーピーでロジスティクスとIT部門のリーダーとして改革を成功させたFujita Office代表の藤田正美氏をゲストに迎える。物流改革の鍵を握る「リードタイム延長」「商品の検品レス化」「賞味期限の1/3ルール緩和」はどう進められたか?

本稿は「Japan Innovation Review」が過去に掲載した人気記事の再配信です。(初出:2025年4月14日)※内容は掲載当時のもの

「翌日納品」が当然でいいのか?

菊田 Fujita Office代表の藤田さんは、キユーピーにおいてロジスティクスとIT部門のリーダーとして両分野の大改革を成功に導いた後、加工食品業界全体の課題解決に取り組んできました。

 主な取り組みとして、①翌日納品から翌々日納品へのリードタイム延長、②賞味期限1/3ルールを緩和し1/2へ、③ASN(Advanced Shipping Notice、事前出荷情報)による納品時の検品レス化、④異業種による共同物流、⑤製配販3層の連携などがあります。いずれも顧客を巻き込んだ業界全体の物流・サプライチェーン改革です。

 今回は、その中から、「リードタイム延長」「検品レス化」「1/3ルール緩和」について具体的に聞いていきたいと思います。

<チャレンジ①>翌々日納品へのリードタイム延長

藤田正美氏(以下・敬称略) 以前から私は、メーカーから卸へ「翌日納品」することが当たり前になっていることに疑問を感じていました。翌日納品では、物流の負担が大きすぎるためです。