Fujita Office代表・藤田正美氏(撮影:宮崎訓幸)

 物流と地球社会を持続可能にするために、今何が必要なのか。デジタル先端技術から経営戦略まで、世の誤解・曲解・珍解を物流ジャーナリスト・菊田一郎氏が妄想力で切りさばく連載企画。

 今回は、キユーピーにおいてロジスティクス改革、IT部門の変革を続けて成功に導いたFujita Office代表・藤田正美氏をゲストに迎える。約2000アイテムの商品を絞り込み収益を最大化したアプローチや、S&OP(Sales and Operations Planning)を通じてサプライチェーン全体の効率化を実現したプロセスに迫る。

最適な商品構成による全体最適の実現を目指して

菊田 Fujita Office代表の藤田さんは、2020年からキユーピーでIT・業務改革推進担当の上席執行役員として、IT改革やDXの土台づくりに取り組んできました。DXを進めるために、人材・組織・システムの基盤を整えた上で、具体的にはどのように改革を進めていったのでしょうか?

藤田正美氏(以下、敬称略) 基本段階の入り口部分の一端に触れますと、次に進めるべきと着目したのが、商品構成をどう組み合わせれば一番お客さまに買っていただけるか(売上利益の最大化)を考える、商品構成最適化です。

 これは①データ活用で顧客ニーズの変化を見据え最適な商品を定義する、②各買い場の最適な商品構成を実現する、③生産制約を加味した最適な商品構成を定義する――という3つの価値を追求するものです。

 結果として「顧客のニーズ、売りたい商品、作れる数量を加味した最適な商品構成による全体最適の実現」を目指します。

 何でもかんでも売れればいい、というわけではないんです。企業が一番収益を上げられる商品構成、プロダクトミックスを考えねばなりません。あまり売れない、また収益性が低く売れても儲からない商品を、製造や営業が苦心惨憺(さんたん)して作り、一生懸命売る……こんな無駄なことはありません。

 彼ら・彼女らの努力、能力、汗が業績への貢献や自分の成績につながるのでなければ、会社や従業員のためになりません。私は以前からこんな主張をしては、煙たがられてきました。