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 価値観の多様化などを背景に、従来のマネジメントが通用しなくなってきている。本稿では、『一流のマネジャー945人をAI分析してわかった できるリーダーの基本』(越川慎司著/日経BP)から、内容の一部を抜粋・再編集。目覚ましい成果を上げ続けるリーダーに共通する働き方をAIで分析・検証して導き出された「これからの時代に必要なリーダーの行動原則」を紹介する。

 グーグルの社内調査で、高い成果を上げるチームほど、メンバー同士が発言しやすく、互いに助け合っていることが明らかになった。そうしたチームをつくるために、あるべきリーダーの姿とは?

「ひとり相撲」から「チームダイナミクス」へ

 リーダーになりたての頃、あるいは周囲の期待に押し潰されそうなとき、人は「自分がもっと努力しなければ組織は動かない」「自分が完璧じゃないと失望される」といった思い込みに陥りがちです。

 しかし、その考え方は、周りの人材に宿る可能性や自分のリソースが有限であることを見落としてしまいます。

「強烈なカリスマ」や「全能の知識・スキル」をリーダーに求める発想は、周囲を活かしきれず、やがてリーダー自身を孤独な「ひとり相撲」へと追い込みます。

 近年のリーダーシップ研究では、組織成果は個人の卓越性ではなく、リーダーとフォロワーがどのような「関係の質」を築くかに左右されることが明らかになってきました。

 米国の調査会社Gallupが行ったグローバル調査では、意見が尊重され、自身の強みが発揮できる環境では、従業員は自主的に動き、生産性が上がり、離職率が低下することが示されています。

 また、Googleの「プロジェクト・アリストテレス」は、高い成果を出すチームほど、各人が発言・提案しやすく、互いの意見や行動を自然に補完しあう土壌を有していることを実証しました。