写真提供:Beata Zawrzel/NurPhoto/共同通信イメージズ

 第2次トランプ政権発足後、相互関税など急な政策転換により世界が翻弄される中、日本は戦後の対米追従から脱却できるのか。マッキンゼー元日本支社長で経営コンサルタントの大前研一氏が著した『ゲームチェンジ』(大前研一著/プレジデント社)から内容の一部を抜粋・再編集。強い日本を取り戻すための道を提言する。

 アマゾンが従業員約10万人を対象に実施している教育制度を例に、世界各国で進む働き手のリスキリングの現状と日本における課題について論じる。

世界各国で進む働き手のリスキリング

ゲームチェンジ』(プレジデント社)

 世界経済フォーラムによると、これからニーズが増える主要職種として、データアナリスト、AI技術者、デジタルマーケティング専門職、ITセキュリティ専門職などが挙げられる(次ページ図3-21上)。

 一方で、ニーズが減る主要職種としては、事務員、秘書、会計士、工場労働者などが挙げられている。人数としては前者が9700万人、後者が8500万人と、全体のプラスマイナスはそれほど減るわけではないが、内容はガラリと変わる。

 企業においては、社員のリスキリングやリカレントトレーニングの実施が重要となる。世界の主要国をみても、イギリス、デンマーク、アメリカ、シンガポール、韓国では、それぞれ具体的なリスキリング政策を掲げている(次ページ図3-21下)。いずれも、政府が資金を拠出するというものである。

 日本の場合、公共職業訓練所などの受講生を増員するとしているが、いまだに溶接工3級などがあり、ほとんどの科目は数十年前と変わっていない。新しい時代への対応が求められている。