不確実な状態をうまく切り抜けるコツは、“斜面をスキーで滑り降りるイメージ”Sergey Mironov/Shutterstock.com
インターネットで情報に即座にアクセスできる時代に、フェイクや偏った情報に惑わされず判断するには「科学的思考」が役立つ――そんな視点から著されたのが、『THIRD MILLENNIUM THINKING アメリカ最高峰大学の人気講義』(ソール・パールマッター、ジョン・キャンベル、ロバート・マクーン著、花塚恵訳/日経BP)だ。同書の内容の一部を抜粋・再編集し、「THIRD MILLENNIUM(=三千年紀/西暦2001年~3000年)」を賢く生き抜く知恵を紹介する。
不確実性という“弱み”を受け入れ、前を向く“強み”に転換するための思考法とは?
状況に応じてスマートに意見を翻せる人は何が違うのか――蓋然的思考の凄い力
現実について自分が知っていることを意識し始めると、すぐさま2つのことが明らかになる。ひとつは、自分には知らないことがたくさんあるということ。もうひとつは、未だに不確実なことがたくさんあるということだ。
不確実なことを前にすると、人は不安になる。私たちは人間で、生理学的に生存を前提にしたつくりになっている。よって、森に何が潜んでいるかわからなければ、進む足取りは当然慎重になる。
だが実のところ、自分が何を知らないかを知ることや、自分の知っていることはほんの一部にすぎないとの認識を持つことは、生存にはもちろんのこと、成功にも欠かすことができない。そうすると、科学的思考の基軸通貨に該当し、3M思考において中核を担う思考の使い方が自ずと必要になる。それは、不確実であるという現実を、自分がとる行動は正しいと確信することに利用するという考え方だ。
知っていることはあるがすべてを知っているわけではないという現実を前にして、科学の力を使えば、この現実とのかかわり方を大きく変えることができる。「絶対的に確信が持てることにしか働きかけてはいけない」という姿勢から、「確信の度合いに差があるさまざまなことに働きかけるほうが、より多くの成功を手にできる」という姿勢に変わることができるのだ。










