カシオ計算機 執行役員 知財・品質・次世代環境構築担当の篠田豊可氏(撮影:酒井俊春)
30年以上前から環境経営に取り組んできたカシオ計算機。現在、同社が進めているのは「支援型のサステナビリティ経営」だ。持続可能な社会の実現に向けて、外部にどのような働きかけと支援を行っているのか。消費者の環境意識が高まる中、製品開発はどう変化しているのか。サステナビリティ戦略実行の責任者である篠田豊可氏に話を聞いた。
サプライチェーン全体の脱炭素が大きな課題
――カシオ計算機は1991年から環境経営を掲げ、現在のサステナビリティ経営へとつながる経営理念を継承しています。持続可能な社会への貢献を発信、実行し続けている理由は何でしょうか。
篠田豊可氏(以下、敬称略) 当社が開発・販売しているのは、主にBtoC(消費者向け)の製品です。この事業を継続するためには、消費者の皆さんが、当社の製品を安心して購入できる社会が維持されることが欠かせません。
そのためには、地球環境の保全や、紛争のない安定した社会の継続が大前提となります。こうした考えから、当社ではサステナビリティを経営の軸に据えています。
――製造業としてサステナビリティ経営を考えるとき、サプライチェーン全体で環境負荷の低減を進めなければいけません。自社以外の取引先企業の環境負荷をどのように管理していますか。
篠田 おっしゃる通りで、当社がサステナビリティ経営を実践する際に、自社だけで解決できる課題はごくわずかです。
例えば、当社の事業によるCO2総排出量のうち、約95%は「スコープ3」にあたる、当社以外のサプライヤーなどによる排出です。これは、当社の製品に使われる部品のほとんどを外部のパートナー企業が製造していることが要因です。
自社のCO2排出量を管理し、低減させていくのは比較的容易ですが、サプライヤーに対しても脱炭素に取り組んでもらうよう促すことは、当社にとって大事な挑戦と言えます。






