シリコンバレーで開発者としてキャリアを積み、起業してデータ連携ミドルウエアの「Data Spider」を開発、その後セゾン情報システムズ(現セゾンテクノロジー)に合流した小野和俊氏。同氏がクレディセゾンでゼロから立ち上げた内製開発チームのメンバーが150人規模に増え、60以上のシステムを作ったという5年間のDXの歩みと、成功のポイント、今後の展望とはどのようなものだろうか。

※本稿は、Japan Innovation Review主催の「第3回 DXフォーラム」における「特別講演:クレディセゾンが5年間の道のりで実現した全社DXと生成AIツール利活用/小野和俊氏」(2024年12月に配信)をもとに制作しています。

「計画しすぎないこと」を念頭に、内製開発チームをスタート

 クレディセゾンでは2019年からDXを進めてきましたが、「あえて計画しすぎず、やってみて手応えを確かめた上で、本当にやるべきことを確認する」ということを大事にしてきました。

 2019年3月の内製開発を担うチーム立ち上げ当時、プログラマーは私1人、他に社員2人という規模でした。まさにゼロからのスタートでしたが、ここで文化的な素地を確かにしておこうと、最初に「テクノロジーセンターの4原則」を策定しました(下図)。

 フラットな関係構築のための「さん」付けの徹底。H(Humility:謙虚)、R(Respect:尊敬)、T(Trust:信頼)を大事にする「HRTの原則」を守ること。短所ではなく長所を見て、チームで補い合う考え方。その上で、成果を出すチームであること、というものです。