わたしたちディズニーホテルでは、ほとんどのゲストが1泊のみのご利用です。「3日使ってようやく使いこなせる」高度すぎるテクノロジーはふさわしくありません。

 ランプにスイッチがついている。トイレの前にスイッチがある。そんな「当たり前のところに当たり前のものがあるわかりやすさ」がなによりも大切です。小さなお子さんから、おじいちゃんおばあちゃんまで、どんな世代の人も使いやすいつくりでなくてはいけません。

 ですから、なるべくシンプルな設計を心がけています。

 以上の実例と考え方を踏まえ、最新テクノロジーに対してわたしたちディズニーホテルがとっている方針はこうです。

「待ち時間が長い」といったゲストの不満を解消したり、キャストの業務が効率化できる最新テクノロジーは積極的に導入する。そして、効率化したぶんの時間を使って、ゲストとのコミュニケーションを増やし、ゲストの不安を解決する。

 ただし、積極的に導入するとは言っても、ゲストに合わせて、過剰ではないテクノロジーだけを導入しています。

 もちろんこれは「すべてのホテル」にとっての正解ではありません。あくまでも「わたしたちディズニーホテル」にとっての暫定解です。

「顧客目線」と「経営者目線」、どちらかに偏ってテクノロジー化を推し進めてしまえば、ビジネスを転覆させるきっかけになりかねません。「2つの目線」の両面からバランスよく考えて、「わたしたちのお客さまにとって」より良いサービスを提供する。それが最新テクノロジーの導入におけるもっとも大切なポイントだと思っています。

<連載ラインアップ>
第1回 ディズニーホテルの経営トップは、なぜ「ホテルめぐり」を続けるのか?
第2回 ディズニーホテルの経営トップが、他のホテルを視察する時に守っている「2つのポリシー」とは?
第3回 全てのホテルにプールが必要なわけではない ディズニーホテルにとっての「ラグジュアリー」とは?
■第4回 ディズニーホテルは、なぜオンラインチェックインを導入しても、客室をハイテク化しないのか?(本稿)



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