下図(図0-1)のグラフが示すように成長ドライバー指標である継続率やアップセル/クロスセル(上位モデルや追加サービス、別製品の提案)を担うカスタマーサクセスの存在によって収益インパクトをもたらすことが期待されています。
このビジネスモデルの変化によって、顧客へのアプローチは従来の一方通行のファネル型から、循環型のアプローチが主流になりました。短期と中長期視点で営業とカスタマーサクセスが連携することで生産性向上を実現します。
また、PLG(プロダクト・レッド・グロース)という営業やマーケティングではなく製品自体でユーザーを拡大し、収益を伸ばす事業戦略に注目する企業が増えました。PLGは営業やマーケティングのコストを抑えられるため投資家からも好意的に見られます。
PLGでよく採用されるビジネスモデルにフリーミアムモデルがあります。Zoomはフリーミアムモデルの好例で、基本サービスを無料で提供し、有料版に移行してもらうことで収益を得て成功しています。例えば、社員が他の企業からZoomリンクを受け取り、無料で使用し始めると、その便利さから社内に広がります。やがて、無料版の制限に不満を持つ社員の声がIT部門に届き、企業として有料版の導入に至るのです。
同様に営業中心に売上を拡大する組織をSLG(セールス・レッド・グロース)、マーケティング中心に売上を拡大する組織をMLG(マーケティング・レッド・グロース)と呼びます。これらを総称してGTMモデル(ゴー・トゥ・マーケット・モデル)と呼びます。GTMモデルによってレベニュー創出方法や注力すべき点が全く異なります。
本書で紹介するSLGの一般的なレベニュー組織モデルは1つの例に過ぎず、必ずしもすべての企業にとって正解とは限りません。企業ごとに異なる製品や市場に応じて、最適なGTMモデルを1つまたは複数選択し、適切に適用することが重要です。ただしどのGTMモデルも、かつてのような営業の属人性といった個に依存するモデルではなく、専門性とテクノロジーを駆使した協業モデルへと変化を遂げています。
<連載ラインアップ>
■第1回 なぜ営業DXが成功しないのか? 米国で6割超の大企業が専門チームを設ける「RevOps」とは(本稿)
■第2回 アマゾン、グーグル、マイクロソフト…世界的ビッグテックはなぜ「RevOps」の専門チームを組織するのか(12月4日公開)
■第3回 サイロ化された組織で起こり得る「データのバイアス」とは? 「RevOps」が経営判断にもたらす信頼性(12月11日公開)
■第4回 レベニュー戦略全体を統括するCROは、なぜ現代のビジネスにおいて重要視されるようになったのか(12月18日公開)
※公開予定日は変更になる可能性がございます。この機会にフォロー機能をご利用ください。
<著者フォロー機能のご案内>
●無料会員に登録すれば、本記事の下部にある著者プロフィール欄から著者をフォローできます。
●フォローした著者の記事は、マイページから簡単に確認できるようになります。
●会員登録(無料)はこちらから