反逆精神と自立心に富む、大坂なおみの母と家族の物語

『トンネルの向こうへ 「あと一日だけがんばる」無謀な夢を追い続けた日々』
著者:大坂 環 
出版社:集英社
発売日:2022年4月26日
価格:1,760円(税込)

【概要】

大坂なおみの母が明かす、自由を求めて故郷を飛び出してから、なおみがチャンピオンになるまで。喜び、その後の苦悩、そして今ふみだそうとする、新たなスタート。

「自由に生きたい!」北海道の保守的な家庭を飛び出し、駆け落ち同然でハイチ系アメリカ人と結婚。二人の娘たちがまだ幼い頃、「ウィリアムズ姉妹のようなトップのプロテニス選手にしたい!」夫がひらめいたときから、一家四人の過酷な旅が始まった。頼る人もなく、テニス業界についての知識もなく、お金もない中で、今日一日、あともう一日、と“光の見えないトンネル”を走り続けた。努力が実を結び、なおみがチャンピオンに。喜びのあとにおとずれた、とまどい、不安。悩んだ末に、また歩き出した今の思いを綴る。

 

 女友達が「大坂選手の北海道のおじいちゃんが出てくるときに漂う背景の豪邸感って凄いよね」と言ったことがあって、その目の付け所に「座布団三枚!」と思った。

 ガイジンと結婚するなんてとんでもないという厳格な父親の元、ハイチ出身の男性と恋愛してカバン一つで大阪へ出奔。年子で二人の娘を出産、正規で働くこともできず貧しさの極にあるような生活の中で、二人の娘をテニスプレイヤーに育てようとする。保守的なものに対する反逆精神があり、自立心に富んで、涙をぬぐって空を見上げるようなガッツの持ち主が、どれだけの苦難の道を歩んだか。

 お金がなくても、たいていのことは工夫と知恵で乗り切ることができる。と書いてはみたものの、とても真似できない。大坂なおみ選手もママになった。パリ五輪にはチームジャパンのメンバーとして加わる。このところ球にキレとパワーが戻ってきているので楽しみだ。