新聞記者魂を持つ著者が、スポーツの真の在り方を問うサスペンス

『オリンピックを殺す日』
著者:堂場瞬一
出版社:文藝春秋
発売日:2022年9月9日
価格:1,980円(税込)

【概要】

五輪を潰せ! 新たなスポーツ大会「ザ・ゲーム」の計画が浮上した。
果たして黒幕は誰なのか。記者が、たどり着いた真相とは!?

五輪の意義を問う、衝撃のサスペンス! 
メディアを排除し、ザ・ゲームを開催せよ!

コロナ禍にもかかわらず、強引に開催された東京五輪の最中、大学教授が、「五輪は集金・分配システムに変化し、意義を失った」という言葉を残して、日本を去った。数年後、新聞記者がある情報を手にする。世界的企業が、新たなスポーツ大会「ザ・ゲーム」を企画している、と。記者は、この大会を仕掛ける、謎の組織の正体を暴けるのか。

 

 有名選手達に送られてきた「ザ・ゲーム」への招待状。東京オリンピックの開催時期にあわせて開かれる「ザ・ゲーム」は、どこで誰がどんな目的で開くのか? 

 堂場さんの警察小説やミステリーを読み慣れている読者は、ちょっと虚を突かれるかもしれない。謎が抽象的で異質だ、と。五輪など祝祭資本主義はもう限界に来ているという現実を踏まえ、新聞記者魂を持った堂場氏がスポーツの真の在り方を問う。

 パリ五輪で市長達が血道を上げているセーヌ川の浄化。そんなところで泳げるようになるのを「レガシー」にしようなんて絶句。小池百合子都政下で、TOKYO2020のレガシーが今後ランニングコストでお荷物になる未来を視察にくればいいのに、と思う。