亡き婉子女王への純愛?

 子宝には恵まれなかったが、実資と婉子女王の夫婦仲は良好であったといわれる。

 だが、二人の夫婦生活は5年で終わりを告げた。婉子女王が長徳4年(998)、27歳で死去してしまったからだ。

 以後、実資は別の女性に子を産ませることはあっても、正妻をおくことはなかった。

『小右記』寛仁元年(1017)7月11日条によれば、当時61歳の実資は、玉置玲央が演じる藤原道兼(道長の次兄 この時はすでに死去)の娘との縁談を持ちかけられたが、婉子女王の死没後は、「深く室を儲くべからず事を戒めに念ふ」と断わっている。

 亡き婉子女王を生涯、愛し続けたのだろうか。