文=酒井政人

2023年11月25日、八王子ロングディスタンス、右から駒大の佐藤圭汰、鈴木芽吹、篠原倖太朗

1区で佐藤圭汰が大逃げ!?

 新年へのカウントダウンが始まり、箱根駅伝を目指す指揮官たちの〝悩み〟が深くなっていく。そのひとつが区間配置だ。ライバル校の動向を予想しながら、チーム内のベストオーダーを考えていくことになる。

 そんな状況で2年連続の「駅伝3冠」を目指す駒大の〝スピードスター〟から仰天コメントが飛び出して、指揮官たちを困らせている。12月15日に行われたオンライン取材会で佐藤圭汰(2年)が大胆な〝大逃げ宣言〟をしたのだ。

「1区で絶対に区間賞を獲得して、区間新を出したい。5㎞を14分00秒のペースで行きたいと思っています」

 1区の区間記録は前々回大会で中大・吉居大和が樹立した1時間00分40秒。佐藤が予告通りに5㎞14分00秒ペースで突き進むなら、そのスピードに対応できる選手を1区に配置しないと大きく引き離されてしまう。各校の指揮官たちはどう読んでいるのか。

 あくまでも11月20日頃に取材したときの話だが、前回2位の中大・藤原正和駅伝監督は駒大のオーダーをこう予想していた。

「オーソドックスに考えると、鈴木芽吹君と篠原倖太朗君で2区と4区をまわして、佐藤君を3区に使うんじゃないでしょうか。山は前回も好走した山川拓馬君と伊藤蒼唯君。復路は安原太陽君、赤星雄斗君、花尾恭輔君あたりが軸ですけど、そのなかで一番調子の良い選手を1区に使えば、出遅れることはないでしょう。強いなというのが一番の感想ですね」

 駒大勢は11月25日の八王子ロングディスタンス10000mで佐藤が日本人学生歴代2位の27分28秒50(U20日本記録)、鈴木が同3位の27分30秒69、篠原が同5位の27分38秒66をマークするなどエース3人が絶好調だ。

 前回は篠原が3区、鈴木が4区を担い、佐藤は出走しなかった。ただし、当初は佐藤が3区で、篠原が7区の予定だったという。しかし、佐藤が直前に体調不良(胃腸炎)になったため、篠原が3区に入り、7区には安原が起用された。なお佐藤は前回3区で「日本人最高記録」を目指していた。

 國學院大・前田康弘監督も母校・駒大についてはエース3人の配置を「1区(篠原)、2区(鈴木)、3区(佐藤)でしょうね」と予想。そして中大については、「1区でかき乱してくる可能性があるんじゃないですか」とエース吉居大和(4年)の1区起用を気にしていた。

 果たして優勝を狙うチームはどんなオーダーを組んでくるのか。