文=酒井政人

2023年1月3日、第99回箱根駅伝、復路9区を走る湯浅仁(中大) 写真=アフロ

〝高校時代無印選手〟たち

 熱狂がとまらない箱根駅伝。有力高校生ランナーは各校の争奪戦になる。その一方で、4年間で〝這い上がってきた男たち〟がいる。第100回箱根駅伝で大活躍が期待される〝高校時代無印選手〟たちを紹介したい。

 まずは現在の4年生世代が高校3年時だった2019年度の5000mランキング(3年生の日本人のみ)を振り返ってみたい。順大・三浦龍司(洛南)が13分51秒91でトップ。以下、明大・児玉真輝(鎌倉学園)、中大・吉居大和(仙台育英)、順大・石井一希(八千代松陰)、駒大・鈴木芽吹(佐久長聖)、青学大・佐藤一世(八千代松陰)、東洋大・松山和希(学法石川)の順で、ここまでが13分台だった。

 彼らはプロ野球でいえば〝ドラフト1位〟ともいえる選手たちだ。なおインターハイ5000mは吉居が日本人トップで、全国高校駅伝1区は佐藤が日本人最高記録で制している。

 上記の選手たちは大学入学後も各校の主力として君臨しているが、〝ドラフト下位〟からチームの主力に駆け上がった選手たちも少なくない。

 

中大の主将・湯浅は9番目の選手として入学

 前回2位の中大は4年生世代に好選手が多く、藤原正和駅伝監督は「君たちが4年生のときに箱根駅伝で優勝しよう!」と1年時から声をかけてきた。そのなかで大学入学時の5000mベスト(14分27秒02)が同学年10人中9番目だったのが湯浅仁だ。

 宮崎日大高では全国高校駅伝に2年連続で出場。3年時は3区で区間31位(24分46秒)だった。なお同区間の日本人トップは現在のチームメイトである中野翔太(世羅)で23分44秒。湯浅は55秒遅れでスタートした中野に抜かれている。そして中大に入学して吉居、中野らの強さに衝撃を受けた。

「レベルが違いましたね。正直、4年間で追いつけないだろうなと思いました」というが、コツコツと努力を積み重ねていき、2年時の箱根駅伝は9区を区間3位と好走。翌年も9区を担って、2年連続の1時間8分台で走破した。そして今季は主将としてチームを引っ張っている。

 5月の関東インカレは1部ハーフマラソンで日本人トップ。出雲駅伝は最終6区で、全日本大学駅伝はエースが集結した7区で区間2位と好走した。さらに11月22日のMARCH対抗戦10000mでは自己ベストの28分12秒17を叩き出している。箱根は補欠登録だが、3年連続の9区か、4区に起用される可能性が高い。

「区間に強いこだわりはありません。任された区間で求められた仕事をするだけです。自分たちが入学してから、『第100回大会で優勝しよう!』とずっと言ってきました。2日間、全力で勝ちにいきたい」と湯浅は燃えている。