文=酒井政人

2023年10月14日、第100回箱根駅伝予選会、日本人1位でゴールする前田和摩(東農大) 写真=スポニチ/アフロ

史上最多の57校が出場

 10月14日に行われた第100回箱根駅伝予選会。全国の大学に門戸が開かれたこともあり、史上最多57校が参加した。〝13枚のプラチナチケット〟をめぐる戦いはハイレベルかつ熾烈だった。

 トップ通過は前評判の高かった大東大。ピーター・ワンジル(3年)の途中棄権がありながら、個人100位以内に8人が入り、圧倒的な強さを見せつけた。2位は明大、3位は帝京大。4位は日体大で10㎞通過時の20位から上げてきて、76年連続76回目の出場を決めた。そしてシャドラック・キップケメイ(1年)が1時間00分16秒で個人トップを飾った日大が5位通過。今季から指揮を執る新雅弘監督のもとで4年ぶり90回目の出場をつかんだ。

予選通過に笑顔の日大の選手たち 写真=スポニチ/アフロ

 今年55年ぶりに箱根駅伝に出場した立大は上野裕一郎監督が直前に解任。〝監督不在〟で臨んだが、10㎞をトップ通過すると、最終成績でも6位に入り、2年連続出場を決めた。前回、悪夢を味わった神奈川大、中央学大、駿河台大はそれぞれ、7位、9位、12位で通過。正月の晴れ舞台に2年ぶりに戻ってくる。8位は国士大で全日本大学駅伝に続いての選考会突破となった。

 

東海大は10㎞23位からの大逆転

予選を10位で通過した東海大 写真=スポニチ/アフロ

 エース石原翔太郎(4年)、3年生主将・越陽汰らが登録メンバーから外れて、花岡寿哉(2年)が2週間前に新型コロナウイルスに感染。危機感を抱いていた東海大は緻密な戦略を立ててレースに臨んだ。

「どちらかというとハーフが苦手で主力も欠いている。どうやって13番以内に滑り込ませるのか。オーバーペースを避けるため、10㎞は30分30秒の通過を予定していました。通過順位は後ろの方になるけど、絶対に焦るな、と。余力は違うので、公園に入ってからは各自の判断で走らせました。私は学生を信じていたので、焦りはなかったです」(両角速駅伝監督)

 鈴木天智(2年)のみフリーで、残りの11人はペースを定めて出走。10㎞通過は23位と出遅れるも、15㎞で15位、17.4㎞で13位と浮上した。最終的には総合10位で11年連続51回目の出場を決めた。

 鈴木が個人37位(1時間02分58秒)に入ると、南坂柚汰(1年)が同55位(1時間03分18秒)と健闘。花岡も同58位(1時間03分23秒)で乗り切った。「下級生中心の布陣で通過したのは次につながると思いますし、石原は全日本で起用するつもりです」と両角監督。全日本大学駅伝は持ち味のスピードを発揮したい。