文=酒井政人

2022年10月10日、出雲駅伝6区を走り、ゴールする鈴木芽吹(駒大) 写真=SportsPressJP/アフロ

駒大vs.中大のファーストラウンド

 10月9日に三大駅伝のスタートとなる出雲駅伝が開催される。6区間45.1㎞と距離は短く、「スピード駅伝」と呼ばれるが、「強さ」も求められる。近年は気温が高く、後半区間は向かい風になることが多いからだ。

 今大会は連覇を目指す駒大と今季5000mの記録を大幅に短縮している中大の〝2強対決〟が濃厚だ。今年の箱根駅伝で両校は往路で激しいトップ争いを演じており、今季はともに「駅伝3冠」がターゲット。初戦の出雲からエキサイティングな戦いが繰り広げられるだろう。

 駒大は鈴木芽吹、赤星雄斗、花尾恭輔、安原太陽(いずれも4年)、篠原倖太朗、庭瀬俊輝(ともに3年)、伊藤蒼唯、佐藤圭汰、山川拓馬(いずれも2年)、安原海晴(1年)を選手登録。前回は1区花尾が区間2位で好発進すると、2区佐藤、5区安原、6区鈴木が区間賞に輝いた。今季前半に故障のあった花尾は昨年ほどの状態ではないかもしれないが、安原はワールドユニバーシティゲームズ5000mで銀メダルを獲得。鈴木もホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会5000mで13分24秒55の自己ベストで走るなど、前回以上の走りが期待できそうだ。

 前回欠場した篠原は前々回で1区(8位)を担当。今季は4月に10000mで27分43秒13を叩き出している。5月以降は調子を落としたが、順調に仕上がっていれば主要区間(1、3、6区)を担うことになるだろう。

 箱根駅伝で活躍した赤星、伊藤、山川は5月の関東インカレでも結果を残しており、庭瀬は夏合宿で成長した選手。悩ましいのは前回2区でトップに立った〝スピードスター〟の起用だ。佐藤は10月4日にアジア大会の男子5000mに出場(6位/13分39秒18)。中国・杭州から6日に帰国して、7日に出雲入りする予定だという。レースと移動の疲労で、どれほどのコンディションなのか。藤田敦史監督は佐藤抜きでの戦いを準備しつつ、直前まで状態を見極めてから区間配置を決めるという。どんなオーダーで初采配を振るうのか。