文=酒井政人 

2023年7月5日、ホクレン・ディスタンスチャレンジ深川大会、男子10000mでの伊地知賢造(國學院大)写真=西村尚己/アフロスポーツ

5000mと10000mで國學院大記録が誕生

 暑さで思うようなトレーニングができない7月。学生ランナーたちの姿は北海道にあった。「ホクレン・ディスタンスチャレンジ」というトラックレースで自己記録を目指したのだ。

 第1戦の士別大会(1日)は5000mBで織橋巧(創価大1)が自己新の13分52秒71でトップ。5000mAは石塚陽士(早大3)が自己ベストを約10秒短縮する13分33秒86をマークした。

 第2戦の深川大会(5日)は5000mBで浦田優斗(中大3)が自己記録を約17秒も塗り替える13分58秒56で1着。5000mAでは吉中祐太(中大2)が13分49秒45、小池莉希(創価大1)が13分54秒27の自己新で走破した。

 第3戦の網走大会(8日)は5000mCで赤津勇進(駒大4)が大幅ベストとなる13分43秒79でトップを飾ると、大森駿斗(立命大3)が13分52秒50、黒田朝日(青学大2)が13分52秒68。5000mBは山本唯翔(城西大4)が13分51秒08、5000mAは山本歩夢(國學院大3)が13分34秒85(國學院大新記録)、山平怜生(中大3)が13分44秒99と各校の主力が自己ベストを更新した。さらに10000mAで平林清澄(國學院大3)が27分55秒15をマーク。國學院大記録を15秒も塗り替えた。

2023年7月12日、 ホクレン・ディスタンスチャレンジ北見大会、男子5000mAでの三浦龍司(順大)写真=森田直樹/アフロスポーツ

 第4戦の北見大会(12日)は5000mAに三浦龍司(順大4)が登場。ラスト勝負で赤﨑暁(九電工)に先着を許したが、「ビルドアップで最後の1000mを2分35~30秒で走ることを意識していました」と設定通りの上がりで、シーズンベストの13分31秒31をマーク。「感覚は良い状態にあるので最高のパフォーマンスを出したい」とブタペスト世界選手権での〝快挙〟に向けて仕上げていくつもりだ。

 

駒大の主将・鈴木が吉居らに先着

2023年7月15日、ホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会、男子5000mAでの鈴木芽吹(駒大) 写真=アフロスポーツ

 第5戦の千歳大会(15日)は男子5000mAに4人の日本人学生ランナーが出場した。トップ集団は1周64秒ちょっとのペースで進み、3000mを8分02秒で通過。ケニア人選手4人に松枝博輝(富士通)、吉居大和(中大4)、鈴木芽吹(駒大4)が挑んだ。

 4000mを前に松枝と吉居が脱落するも、鈴木がケニア勢に食らいつく。終盤は引き離されたが、自己ベストを3秒更新する13分24秒55(日本人学生歴代10位)の5着でゴールに飛び込んだ。吉居は13分33秒39で、山口智規(早大2)が13分35秒35、伊藤大志(早大3)が13分37秒19だった。

 鈴木は日本人学生最高記録(13分19秒00)の更新を目指していただけに、「まだまだ満足はできません」とレース後は悔しさを口にした。昨季、悲願の「駅伝3冠」を果たした駒大。鈴木は故障に苦しんだ1年になっただけに、今季は主将として、「レースに出たら学生には負けるな、と言っているので、吉居君や早稲田の二人には絶対に負けないという気持ちで走りました」と熱い気持ちでチームを引っ張っている。エースの〝完全復活〟を告げる快走は王者・駒大の「強さ」を象徴しているようだった。

 5000mはB組で花岡寿哉(東海大2)が13分41秒31、C組で溜池一太(中大2)が13分39秒85、吉中祐太(中大2)が13分44秒09。E組で村松敬哲(東京国際大4)が13分52秒22、F組で浦田優斗(中大3)が13分52秒77の自己ベストをマークした。

 

関東学生網走夏季記録挑戦競技会でも國學院大が活躍

 ホクレン・ディスタンスチャレンジに続いて、北海道(網走)では関東学生網走夏季記録挑戦競技会(16日)が行われた。

 5000mは伊地知賢造(國學院大4)が13分40秒51でトップを飾ると、湯野川創(東海大2)が13分42秒78、久保田徹(大東大4)が13分43秒40、平林樹(城西大3)が13分44秒80、村上大樹(山梨学大3)が13分48秒82、永本脩(東海大1)が13分49秒58と大幅ベストで走破した。

 10000mは主将が勢いをつけた國學院大の快走が止まらない。2組は板垣俊佑(3年)が28分51秒61、後村光星(1年)が28分52秒46でワン・ツー。最終3組では8日前に5000mで13分34秒85の國學院大新記録を打ち立てた山本歩夢(3年)が28分16秒92で全体トップを奪い、自己記録を約25秒も塗り替えた。山本に続き、青木瑠郁(2年)が28分32秒90で3着、高山豪起(2年)が28分43秒51で9着。合計5人が28分台の自己ベストを叩き出したのだ。

 國學院大は昨季の学生駅伝で出雲と全日本が準優勝。箱根は「過去最高3位以内」という目標には届かなかったが4位に入った。3月の学生ハーフマラソンと5月の関東インカレはインパクトに欠けたが、初夏のトラックレースで再び強さを見せつけたかたちだ。

 伊地知、平林、山本の3本柱に加えて、昨年の全日本大学駅伝5区で区間賞を獲得した青木が健在。板垣、後村ら学生駅伝未経験者も成長している。前田康弘監督は「ひとつは取りにいきたい」と意気込んでおり、三大駅伝では王者・駒大に真っ向勝負を仕掛けていきそうだ。

 10000m3組では西川千青(大東大3)が28分25秒33で2着に入ると、小林亮太(東洋大3)、佐藤榛紀(東京国際大3)、木村海斗(東京国際大3)、伊東夢翔(中大2)、入濵輝大(大東大4)が28分30秒台をマークした。

 学生ランナーが北海道に集まっている頃、欧州にいたのが佐藤圭汰(駒大2)だ。7月15日にベルギーのナイトオブアスレチックス5000mB組に出場。13分41秒27の6着で自己記録(13分22秒91)に届かず、今夏のブダペスト世界選手権の出場は厳しい状況になった。それでも世界を果敢に目指した経験は今後の糧になるだろう。なお佐藤は杭州アジア大会の男子5000m代表に選ばれており、出雲駅伝に出場することになれば、10月4日と9日の連戦になる。

 ほとんどの大学は7月後半に「学期末試験」があり、その後、夏合宿に入っていく。本格的な走り込みを行い、駅伝シーズンを見据えていくことになる。また今年は中国・成都でワールドユニバーシティーゲームズ(7月28日~8月8日)が開催される。長距離種目では5000mで安原太陽(駒大4)と石原翔太郎(東海大4)、10000mは山本唯翔(城西大4)、ハーフマラソンは篠原倖太朗(駒大3)と吉田礼志(中央学大3)が日本代表に選出されている。それから三浦龍司(順大4)のブタペスト世界選手権(3000m障害)が非常に楽しみだ。学生ランナーが世界に挑む夏がやってくる──。