文=酒井政人

2023年9月16日、日本学生対校陸上第3日、男子5000mで4位だった吉岡大翔(順大) 写真=共同通信

國學院大の主将が地元を激走

 9月14~17日に熊谷陸上競技場で開催された日本インカレ。〝学生日本一〟を決める舞台だが、夏合宿を優先して参戦しない長距離チームは少なくない。そのなかで志願して男子10000mに出場したのが、國學院大の主将・伊地知賢造(4年)だ。留学生7人が出走したレース。伊地知の狙いは明確だった。

「マークされると思っていたので、あまり前にポジションをとらず、前半の5000mまでは落ち着いて走りました。そこからちょっとずつ上げていき、ラスト勝負を考えていたんです」

 2000m過ぎに留学生7人が抜け出すも、伊地知は動かない。日本人トップだけを目指して、冷静にレースを進めた。そして残り1周で猛烈スパート。日本人トップの8位(29分31秒20)でゴールに駆け込んだ。

2023年9月14日、日本学生対校陸上第1日、男子10000mで8位の国学院大・伊地知賢造(右)写真=共同通信

「予定通りに走ることができました。暑くてタフな戦いでしたが、僕は埼玉が地元で、ここは一番走った競技場。熊谷が味方してくれたんだと思います。チームに良い流れを作り、駅伝シーズンにつながる走りになりました」

 伊地知は1月末に右足首まわり(後脛骨筋)を痛めた影響で、5月の関東インカレを欠場した。長期故障となり、主将としての責任を痛感。「陸上をやめたいと何度も思いました」というが、レース復帰すると、確実に結果を残していく。

 7月5日のホクレン・ディスタンスチャレンジ深川大会10000mで28分37秒39。7月16日の関東学生網走夏季記録挑戦競技会5000mは13分40秒51の自己ベストをマークした。この記録は高校時代のベスト(14分43秒)を1分以上も上回るものだった。

 伊地知は自らの進化に手応えを感じており、駅伝シーズンに向けて、熱い言葉を吐いた。

「昨季の出雲と全日本は優勝に届かない2位で、箱根は表彰台に届かない4位。その悔しさを忘れることなくやってきました。今回の結果を踏まえてもスピードに自信をつけることができたので、駅伝(昨年の出雲と全日本はアンカーを務めた)は前半区間でも戦える力がついてきたのかなと思っています。特に箱根駅伝は集大成になるので、良い思い出ではなく、最高の思い出で終わらせたい」

 

創価大は新戦力が躍動

 男子10000mで伊地知に続いたのが小暮栄輝(創価大3)だった。入賞には届かなかったが、日本人2番の9位(29分33秒08)でフィニッシュ。レース中盤では日本人集団を積極的に引っ張った。

 小暮は3大駅伝の出場はなく、突如現れた印象だが、1年時からハーフマラソンを1時間2分台で走っている選手。「日本人3番以内」を目標に掲げていた日本インカレでも結果を残して、駅伝での活躍が期待される。

「伊地知さんに置いていかれましたが、ラストも動きました。自分がエースになれるという自覚を再確認できるレースになりました。今季は駅伝で区間賞争いできる選手になりたいです」

 創価大は留学生3人が出走した男子5000mでも織橋巧(1年)が7位(14分18秒92)に食い込んだ。

「小暮さんが良い流れを作ってくれたので、最低限、入賞はしたいなと思っていました。個人的には悔しいレースになったんですけど、自分の現状の走りができて良かったです。駅伝では集団のなかで戦うレースがしたい。出雲は1区が希望です!」

 織橋は6月上旬のU20日本選手権5000mで2位に入ると、7月1日のホクレン・ディスタンスチャレンジ士別大会5000mで13分52秒71をマーク。高校時代の5000mベスト(14分10秒89)を大幅に更新しており、今後が楽しみな選手だ。

 創価大はスティーブン・ムチーニ(1年)が10000mで3位(28分22秒31)、リーキー・カミナ(3年)が5000mで優勝(13分52秒16)。箱根メンバー6人が卒業したが、今季の駅伝シーズンも上位争いに絡んできそうな予感が漂ってきた。