吉居兄弟が爆走するか

2023年6月1日、 日本選手権、男子5000m決勝に出走する吉居大和(左)、吉居駿恭(ともに中大) 写真=森田直樹/アフロスポーツ

 中大は湯浅仁、中野翔太、吉居大和(いずれも4年)、阿部陽樹、浦田優斗(ともに3年)、溜池一太、吉居駿恭、吉中祐太(いずれも2年)、柴田大地、本間颯(ともに1年)をエントリーした。

 注目は吉居兄弟だ。兄・大和は10月1日の世界ロードランニング選手権5㎞に出場。35位(14分11秒)に終わったが、学生駅伝は4大会連続で区間賞を獲得中。弟・駿恭は9月30日のアスレチックスチャレンジ5000mで13分22秒01(日本人学生歴代6位)をマークしている。

 なお前回は1区吉居大、3区中野、4区阿部、5区溜池、6区吉居駿というオーダーで3位だった。順当なら今回も吉居兄弟と中野がロング区間(1、3、6区)を担うはず。溜池も9月の日本インカレ5000mで5位に入っており、戦力的には駒大とほぼ互角だ。吉居兄弟が〝爆走〟すれば初優勝が見えてくる。

 

「3位以内」を目指す國學院大、早大

 前回2位の國學院大は昨年以上に面白い。今季は10000mで平林清澄が27分55秒15、山本歩夢(ともに3年)が28分16秒92、青木瑠郁が28分32秒90、上原琉翔(ともに2年)が28分36秒44をマーク。前回、6区で中大を逆転した主将・伊地知賢造(4年)は7月に5000mで自己ベストを更新して、9月の日本インカレ10000mで日本人トップに輝いている。チーム目標は「表彰台」だが、4年ぶりの優勝を狙う〝攻撃的な戦略〟を期待せずにはいられない。

 早大は主力が充実している。今季は石塚陽士、伊藤大志(ともに3年)、山口智規(2年)が5000mで13分35秒前後の自己新をマーク。関東インカレでは〝3本柱〟が活躍して、工藤慎作(1年)も1部10000mで6位に入った。主将・菖蒲敦司(4年)は前々回の1区を区間2位と好走。今季はワールドユニバーシティゲームズの3000m障害で銅メダルを獲得した。他にもスピードのある間瀬田純平(2年)、山﨑一吹(1年)らがいる。チーム構成を考えると、三大駅伝では出雲が一番のチャンスになるだろう。

 

好調な青学大、創価大と城西大も上位進出の期待

 青学大は前回4位メンバー4人が卒業するも、9月24日の絆記録挑戦会5000mで好タイムを続出。山内健登(4年)の13分35秒04を筆頭に、佐藤一世(4年)、黒田朝日(2年)、鳥井健太(1年)、野村昭夢(3年)、小原響(4年)が13分30秒台の自己ベストで走破した。チーム状態は上向きで、目標の「学生駅伝3冠」に向けて突っ走りたい。

 9月24日の絆記録挑戦会5000mでは創価大の小池莉希(1年)が青学大勢を抑えて、13分34秒82で日本人トップを奪った。創価大は日本インカレでも大活躍している。留学生3人が出場者した5000mでリーキー・カミナ(3年)が優勝。小暮栄輝(3年)が日本人2番の9位に食い込んだ。同5000mでは織橋巧(1年)が7位入賞を果たしている。3区はカミナが濃厚で、後半の向かい風区間には東海大から転入した吉田響(3年)の起用も考えられる。序盤で好位置につけることができれば、中盤以降はトップ争いに加わりそうだ。

 前回5位の順大はブダペスト世界選手権3000m障害6位入賞のエース三浦龍司(4年)と5000mで高校記録を持つルーキー吉岡大翔のスピードが魅力。城西大は山本唯翔(4年)、斎藤将也、ヴィクター・キムタイ(ともに2年)の3本柱が強力だ。両校ともオーダーの組み方次第では上位争いに加わる可能性を秘めている。

 大阪経大と立命大は5日後の箱根駅伝予選会に出場予定。そして4年ぶりにアイビーリーグ選抜が出場する。

 今季、「駅伝3冠」という目標を掲げているのは駒大、中大、青学大の3校。神在月の戦いで野望に一歩前進するのはどの大学か。