駒大、中大、國學院大のオーダーを予想

 まずは王者・駒大。今季は佐藤の区間(出雲と全日本は2区)で明確なリードを奪って、悠々とレースを進めるのが勝ちパターンになっている。佐藤は過去の最長レースが全日本2区の11.1㎞。もし1区に入った場合、5000mで現役日本人学生最高の13分22秒01を持つ吉居駿恭(2年)らが候補に挙がる中大は迷うことなくついていくだろう。背後にピタリとつけられるのは佐藤も嫌なはず。一方、3区なら自分ペースで走りやすい。佐藤の持ち味を生かすなら1区より3区の方がいいだろう。

 2区は上りが強い主将・鈴木が濃厚。篠原はライバル校の動向を見ながら、1区もしくは4区に入るのではないだろうか。もし中大・吉居大和が1区に入っても、篠原なら十分に対応できる。1区がそれほどハイペースにならないと読めば、4区に配置して、リードを広げる役割を担うはずだ。

 では、28年ぶりの総合優勝を狙う中大はどうか。

「2区はエースがやるべきだと考えていますので、大和か中野翔太が担うことになるんじゃないでしょうか。3区もタイム差が出る区間なので、どちらかを配置するのが一番オーソドックスかなと思っています」と藤原監督は話していた。

2023年11月5日、全日本大学駅伝、3区を走る吉居大和(中大) 写真=SportsPressJP/アフロ

 前回は2区吉居大が区間歴代8位の1時間6分22秒で走破。3区中野も〝連続区間賞〟でトップを駆け抜けた。1区は前回1区を4位と好走した溜池一太(2年)と吉居駿が候補で、どちらかを復路にまわす見込みだ。そして2年連続で9区を好走している湯浅仁(4年)を往路に投入したい考えを持っている。

 いずれにして吉居大でトップを奪って、中野でリードを広げるのが〝勝利の方程式〟になるだろう。吉居大は2区が有力だが、佐藤や篠原が1区に来ないと読めば、絶対エースを1区に起用して、2区は中野か湯浅で逃げ切るという戦略も考えられる。どんなオーダーで勝負を仕掛けにくるのか。

 前回4位の國學院大は伊地知賢造(4年)、平林清澄、山本歩夢(ともに3年)の3本柱が強力だ。特に平林は前回も2区を好走しており、全日本は各校のエースが集結した7区で区間賞。今回は2区で「1時間6分台」を狙っている。3本柱を1~4区に投入して、「てっぺん」を目指す戦いを繰り広げるだろう。

2023年11月5日、全日本大学駅伝、8区を走る伊地知賢造(國學院大) 写真=SportsPressJP/アフロ

 箱根駅伝の「区間エントリー」は12月29日に行われる。補欠競技者との交替は1日最大4名(全6名)で、正競技者同士の区間変更は認められない。なお前回は駒大が当日変更で4名(3、5、6、8区)、中大は3名(2、3、7区)、國學院大は4名(1、2、4、10区)を交替している。おそらく主力選手は補欠登録して、ギリギリまで戦略を明かさないようにするだろう。

 指揮官たちの眠れない日々はまだまだ続くが、ファンとしては各校のオーダーを予想するのも箱根駅伝の楽しみ方になりそうだ。