加速は強烈

一般道の速度内だと、路面によって音色を変えるロード・ノイズがいちばん目立つ。同時に、路面の凸凹やざらつきが、ステアリングホイールを通して伝わってくる。

BEVにありがちな、電気の制御系とかモーターとかが発する、ヒュイイイインッという電子音は、ほとんど聞こえてこない。防音対策が徹底されているからだ。ただし、深々とアクセルを開けたときは別で、ヴオオンッという、それこそテレビとか映画のUFOが発するような太めの電子音が室内に轟く。これはASC(アクティブ・サウンド・コントロール)というシステムが発する人工音で、その目的はドライバーにクルマの状態を知らせることにある。

ヴオオオオンッという電子音が轟いたときの加速は強烈で、思わず、フォーッ! という驚嘆の声が口から出る。さらにアクセルを踏み込むと、さらに猛烈な加速を続ける。フォーッ!! レイザーラモンHGみたいだ。と思って苦笑する。

その加速感はターボチャージャーが効き始めた内燃機関車の2次曲線的な加速感にも似ているけれど、トルクのつぶつぶがもっと小さくて勢いがあるというか、それはつまり、電気モーターが12気筒エンジン並みに、いや、それ以上にスムーズでレスポンシヴ、おまけにトルキーだからだ。

RZ450eは前後輪をそれぞれモーターで駆動する4WDで、フロントのモーターは最高出力150kW(203.9pos)、最大トルク266Nm、リアは80kW(109ps)と169Nmを発揮する。単純に足すと300ps以上のパワーと435Nmもの大トルクを誇る。それがフラットアウト時にはドバッと放出される。プロトタイプの数字では0―100km/hは5.3秒がうたわれており、これはポルシェでいうとマカン(2リッター4気筒ターボ、265ps)の6.4秒より1.1秒も速い。アクセルを軽く踏み込むだけで、周囲のクルマを抜き去ることはお茶の子さいさいだ。