米アップルはインドで現地生産の拡大を目指しているが、課題にも直面していると、英フィナンシャル・タイムズやロイター通信が2月14日に報じた。
不良品ゼロ目指すアップルとのギャップ
インドの大手財閥タタ・グループが運営する筐体(きょうたい)工場では、製造される部品のうち、iPhoneの組み立て工場に納品できる合格品が約半分にとどまっているという。
50%という歩留まり率は、不良品率ゼロを目標とするアップルの方針とかけ離れている。 工場は技術向上に向けた取り組みを進めているが、この先の道のりは長いと2人の関係者は話している。
現在、iPhoneはその95%の生産を中国に依存している。しかし、台湾電子機器受託製造サービス(EMS)大手の鴻海(ホンハイ)精密工業の中国・鄭州工場で22年10月下旬から約1カ月にわたり、新型コロナの感染拡大に端を発する騒動が起き、稼働率が低下した。アップルは供給不足に見舞われ、22年10~12月期の売上高が前年同期比5.5%減の1171億5400万ドル(約15兆4400億円)となった。アップルにとって減収は19年以来、約4年ぶりだった。
中国リスク低減もインド生産に課題
こうした中、同社は製造分野の地理的な中国依存を低減するため、インドでの生産増強に力を入れている。
アップルは17年に台湾EMS大手の緯創資通(ウィストロン)と提携しインドでiPhoneの生産を始めた。その後、ホンハイも政府の国内生産推進計画に応じてインド生産を開始した。