14四半期続いた増収も10~12月期にストップか

 22年10月27日に開いたアナリスト向けの決算説明会で、アップルのルカ・マエストリCFO(最高財務責任者)は、22年10~12月期の売上高について、前年同期比伸び率が22年7~9月期実績の8%を下回るとの見通しを示した。

 フィナンシャル・タイムズによると、アナリストらはアップルの22年10~12月期の売上高が、前年同期に達成した過去最高の1239億4500万ドル(約16兆4600億円)をわずかに下回ると予想している。最終利益は同8%以上減少するという。iPhoneの供給が500万~1500万台不足すると予想されることがその理由だ。アップルの売上高は過去14四半期にわたり前年同期比増収が続いているが、これが22年10~12月期に途絶えるとアナリストらはみている。

 香港メディアの明報は先ごろ、ネットに流出したとされる当局の会議資料を基に、22年12月1~20日までの中国の新型コロナ感染者数が、全人口の約18%にあたる延べ2億4800万人に達した可能性があると報じた。

中国の10月スマホ出荷、27.2%減

 アップルは中国での需要低迷という問題も抱えているようだ。中国政府系シンクタンク「中国情報通信研究院」(CAICT)によると、同国における22年10月のスマホ出荷台数は前年同月比27.2%減の2378万台にとどまった。22年1~10月の中国スマホの出荷台数は、前年同期比22%減の2億1500万台だった(ロイターの記事)。

 フィナンシャル・タイムズによると、世界各国ではロックダウン(都市封鎖)中に巣ごもり需要が増大し、スマホ販売が好調だった。一方で、「免疫水準が低く、最低限のセーフティーネットしか用意されていない中国の消費者は身を潜め、大きな買い物を控える可能性がある」という。

インドやベトナムに生産移管

 こうした中、23年におけるアップルの収益リスクが増大していると同紙は報じている。アップルの売上高の2割は中国での販売によるものであり、iPhoneの90%以上が中国で組み立てられている。これに対し競合の韓国サムスン電子は19年に中国でのスマホ生産から撤退した。現在はベトナムなど約4カ国に生産を分散している。

 アップルも製造分野の地理的な中国依存を低減するため、インドをはじめ他のアジア諸国での生産増強に力を入れている。ロイターが分析したところ、19年までの5年間、アップル製品(部品も含む)の全世界製造拠点のうち、中国が占める比率は44~47%だった。この比率は20年に41%に下がり、21年は 36%と、4割を切った。

 米テッククランチによると、米銀大手JPモルガン・チェースのアナリストらは、アップルが22年内にiPhone 14シリーズの世界生産の約5%をインドに移管し、25年までに全iPhoneの25%をインドで生産すると予測している。

 パソコン「Mac」 やタブレット端末「iPad」、腕時計型端末「Apple Watch」、ワイヤレスヘッドホン「AirPods」など、アップル製品全体の中国以外での生産比率は、25年までに現在の5%から約25%に引き上げられるという。