こうした中でも同社は中国事業の維持・拡大を模索した。17年に中国本土向けに翻訳アプリの改良版をリリース。18年には検索サービスの中国市場への再参入も検討した。だが、従業員や米議員からの反発を受け、断念した経緯がある。同社は北京に人工知能(AI)の研究開発拠点を構えていたが、19年に閉鎖した。

アマゾンやリンクトイン、エアビーも撤退

 こうした中、中国では独自のインターネット企業が台頭し、グーグルなどの西側企業の代替サービスとなっている。検索サービスでは、百度(バイドゥ)と騰訊控股(テンセント)傘下の捜狗(ソーゴウ)に人気があり、この2社は翻訳サービスも提供している。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、グーグルは中国で一部の事業を続けている。例えば。「Chrome」は中国で最も人気のあるパソコン版ウェブブラウザーだという。中国の電子商取引(EC)サイトでは、地場業者がグーグルのスマホ「Pixel」やスマートスピーカー「Nest」を販売している。

 ただ、中国では検索をはじめ、料理宅配や配車などさまざまな分野で地場企業が代替サービスを提供中。これが、米国のテクノロジー企業の事業閉鎖につながっているという。

 米アマゾン・ドット・コムは22年6月、中国国内での電子書籍サービス「Kindle(キンドル)」から撤退すると明らかにした。アマゾンは19年に中国国内向けの「マーケットプレイス」事業からも撤退。同国市場におけるシェアの低さが要因とみられている。

 米マイクロソフト傘下でビジネス向けSNS(交流サイト)を運営する米リンクトインは21年に中国版を閉鎖した。当局の規制強化により事業継続が困難と判断した。民泊仲介大手の米エアビーアンドビーは22年5月、中国本土のサービスを停止すると発表。競争激化と「ゼロコロナ政策」が重なり事業環境が悪化したという。