同様の訴訟、一審で棄却

 米国では首都ワシントンのラシーン司法長官も2021年に、アマゾンが価格を拘束したとして同社を提訴した。この訴訟は22年3月に一審で棄却され、原告側は22年8月に控訴している。

 この訴訟で問題とされたのが、アマゾンが契約に盛り込んだ「公正価格規定」と「最低利益協定」だ。

 前者の公正価格規定とは、出品業者が価格を自由に決めることができるというもの。一方で、アマゾンは他社ウェブサイトをモニターし、業者がアマゾンへの出品よりも安く販売していないかどうかをチェックしている。もし、他社サイトでより安価な商品が見つかれば、アマゾンはその業者の同じ商品を自社サイト上で積極的に表示しない。

 これについて、アマゾンは「当社では割高な商品を目玉商品として扱わない。過剰な支払いから消費者を守ることが目的だ」と説明している。

 後者の最低利益協定は、卸売業者との契約に盛り込まれているものだ。アマゾンのECサイトで販売される商品は大半が出品業者によるものだが、それ以外はアマゾンが卸売業者から仕入れて販売している。

 これについてもアマゾンは、他社のECサイトで同一商品がより安く販売されていないかをチェックしている。もし、より安価な商品が見つかれば、アマゾンは自社直販商品の価格を引き下げる。その際アマゾンの利益率が一定の水準に満たない場合、同社は卸売業者から「調整支払金」を徴収しているとされる。

 これについてもアマゾンは、消費者利益を第一に考えているとし、その合理性を主張している。だが、首都ワシントンのラシーン司法長官は、逆効果だと批判する。この協定があるがゆえに、卸売業者は他社ECサイト向け卸売価格を高く設定する。つまり卸売業者は、アマゾンに直販商品を値下げされないよう、他社サイト向けの価格を調整しているという。

アマゾン「首都ワシントンと同じ結論望む」

 前述したとおり、首都ワシントンがアマゾンを相手取った訴訟は一審で棄却された。アマゾンの広報担当者は今回の訴訟について、「カリフォルニア州の裁判所が首都ワシントンの裁判所と同じ結論に達することを望んでいる」と述べた。

 カリフォルニア州は米国で最も人口の多い州で、経済規模も米最大。ウォール・ストリート・ジャーナルは「カリフォルニア州の規制は長年、米企業の全米における事業運営に大きな影響を及ぼしてきた」と報じている。

 (参考・関連記事)「アマゾン独禁法訴訟、米首都ワシントンの訴え棄却 | JDIR