こんにちは。株式会社RevComm(レブコム)でCPO(Chief Product Officer)を務める重城聡美(じゅうじょうさとみ)です。RevCommでは、電話営業やコンタクトセンターにおける電話を可視化・分析し、企業の生産性向上に貢献する音声解析AI電話「MiiTel」(ミーテル)や、AI搭載オンライン商談解析ツール「MiiTel for Zoom」を提供するスタートアップで、Forbes JAPAN「日本の起業家ランキング 2021」、週刊東洋経済「すごいベンチャー100」にも選出されています。

 本稿では、大学院で精密機械工学を専攻した私が、新卒で入社したコンサルティングファーム マッキンゼーで、またその後、INSEADでのMBA取得を経て入社した米国のGoogle本社で学んだことと、なぜそのキャリアからスタートアップでのプロダクトマネージャーに転身したのかについて複数回にわたり、お伝えします。世界中でのキャリア、そして欧米、APAC(アジア太平洋)を含む世界中の企業のさまざまな立場、役割の人たちとのビジネス経験が、DXやイノベーション、新規事業開発、スタートアップとの協業に携わる皆さま、また同時に、これからのキャリアを考える皆さまの参考となれば幸いです。

メーカーでのインターンと家電量販店での販売が社会との接点に

 出身は、東京大学工学系研究科精密機械工学専攻です。小さい頃から数学や物理が得意だったことから、将来は技術者になるのかな、と漠然と思っていました。実際に、専攻で自分と同期の周囲の人のほとんどはそのような道を進んでいます。

 学生時代の社会との接点の一つは、メーカーでのインターンでした。日本の大手企業で就業するという体験を得る貴重な体験であったものの、当時の日本の大手メーカーでは、女性がしっかりとキャリアパスを持って働けるというイメージを持つことは難しいと感じました。ちょうど就職活動のころにリーマンショックがあり、日系企業の多くが採用を抑制したことから、一つの会社に「就社」して一生働き続けるというキャリアパスは、自分には合わないと思い始めたんです。

 「技術者として就職するとしても、製品を売る現場を知りたい」と思い、研究の傍ら、大手家電量販店で販売員を経験しました。私はいわゆる「できる販売員」としてイメージされるような流暢なコミュニケーション能力や、自社製品を推して売り切る強引さには、自信がありませんでした。

 一方、ビジネスの仕組みに興味を持ち始めたことから、現場で売り上げにつながる商品の打ち出し方や、提案の仕方を分析して実践してみることにしたんです。「低価格帯の商品を見ているお客さまでも、価格に見合う価値を提供できることが腑に落ちれば高価格帯商品に興味を持つ人が一定数いる」といった自分なりの発見を現場で実証するなど仮説検証を繰り返した結果、数カ月で売り上げ10倍を達成しました。

 家電売り場という小さいステージであっても、ビジネスの最前線で仮説検証を繰り返して結果を出すことの面白さを感じたことが、その後の自分の選択につながっているのではないかと感じています。