慢性的な労働人口の減少に加え、2022年1月の電子帳簿保存法改正、2023年10月のインボイス制度改正といったデジタル化への法改正、働き方の多様化など、新たなデジタル時代における中小企業の課題が増している。そうした課題を解決すべく、アスクルがソフトバンクと協業して開始したのがデジタルソリューション「ビズらく」だ。
アスクルとソフトバンクの強さを掛け合わせる
この背景には、ソフトバンクとグループ会社間で行われているグループシナジー会議の存在がある。「中小企業開拓」という共通課題の中で、アスクルからの提案によって「ビズらく」構想がスタートした。
アスクルの持つお客さまの基盤とCRMのノウハウ。そして、ソフトバンク社およびグループの各社の持つデジタル通信商品の圧倒的な調達力とBtoBのマーケティング力、システム開発能力の機能を掛け合わせたシナジーにより、「ビズらく」のローンチに至った。
「ビズらく」の特徴は、「ビズらく相談室」「みんなのITサポート」「厳選した商品」の3点だ。
「ビズらく相談室」は、電話やオンラインでお客さまのデジタル化に関する相談ができる無料のサービス。お客さまの課題やお困りごとに対して専門の担当者が検討し、最適な商品を提案していく。
「みんなのITサポート」は、社内にIT担当者がいない、システム部門がないといったお客さまのお困りごとを解決する、専用タブレットを使用した情報システム部の代行サービス。タブレットにはビデオ通話アプリや遠隔サポートツールが事前に設定されているので、電源を入れるだけですぐに利用することができる。サポートの対象は、パソコン・モバイル端末の操作方法やトラブル対応、インターネット接続設定アプリケーションの操作方法などだ。アプリを起動するとタブレットのアウトカメラが自動的に立ち上がるので、オペレーターにエラー画面を見せながら相談する、といったことも可能だ。また、タブレットは持ち運びができ、離れた場所でもオペレーターと会話をしながら確認できるため、トラブルの早期解決にもつながる。
「厳選した商品」については、商品選定の基準となるのは、適切な価格と購入単位、ニーズに合った機能、アフターサポートを含めたサポートの充実の3点だ。「ビズらく」のWebサイトオープン時点では、全14カテゴリ32商品がラインアップされている。グループウェア、Web会議、勤怠管理、電子契約、ビジネスチャットのようなホリゾンタルな商品と、健康管理サービス等のオリジナル商品、さらに、通信商品「Y!mobile」などが並ぶが、順次拡大していく予定だ。
日本の中小企業の58%はIT担当者が不在
「ビズらく」のサイトは、一般的なECサイトと違い、トップページに商品を並べていない。これは、デジタル化推進の方法が分からないお客さまが、自身の困りごとを起点に解決のヒントを探せるようにしているためで、「伴走型支援」を掲げる「ビズらく」の大きな特徴だ。中小企業向けITサービスを提供する事業社が多数ある中で、無料相談やアフターサポートの充実、小ロットからでも利用可といった点において優位性があるといえる。
アスクルのCDXO テクノロジー本部長・池田和幸氏は、「日本の中小企業において、IT担当者不在の会社は58%もあります。“ITツールやサービスを導入したくても、どれを選べばいいか分からない”というお客さまも多いので、そういった企業を直接サポートし、IT担当者がいなくても、クラウドサービスを使って効率よく業務を行っていただけるよう、という思いから『ビズらく』を立ち上げました」と語る。
50年以上にわたり事業を展開し、約500万カ所の事業所と接点を持つアスクル。企業向け通信サービスやソリューション提供において豊富な実績を持つソフトバンク。両社が連携し、実際のお客さまの声を反映しながらサービスと作り上げることで、中小企業のデジタル化への加速を進めようとしている。
※CDXO テクノロジー本部長・池田和幸氏が語るアスクルのDXの取り組みは、記事『テクノロジーの進展とビジネス環境の変化を見据えたアスクルのDX』をご覧ください。