iPhone 14 Pro(写真:アップルHPより)

 米アップルは9月7日、スマートフォン「iPhone」の新モデルを発表した。画面サイズが6.1インチの「iPhone 14」、6.7インチの「14 Plus」と、これらの上位モデルにあたる「14 Pro」、「14 Pro Max」の計4機種を9月16日から発売する。

 価格は14が799ドル(日本では税込み11万9800円)から、Proは999ドル(同14万9800円)から。新モデルはバッテリー性能を向上させたほか、上位機種には4800万画素のカメラを搭載した。衛星通信機能も搭載し、米国とカナダでは22年11月から衛星経由の緊急通報機能を2年間無料で提供する。

5G対応への買い替え促進3年目

 iPhoneは、20年に発売した「12」シリーズで初めて高速通信規格「5G」に対応した。アップルが顧客に5G対応モデルへの買い替えを促すのはこれで3年目となる。

 だが、需要低迷やインフレ、ドル高など、スマホを取り巻く市場環境には逆風が吹く。こうした中で、14シリーズは過去2年のような好業績を示せるかどうかが試されるモデルになる。

 12、13シリーズに対する需要増の恩恵を受け、アップルは過去2年、記録的な利益と売上を達成した。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、iPhoneの売上高は21会計年度に前年比39%増加。この9月末までの22会計年度はさらに6.7%増加し、過去最高の2050億ドル(約29兆4300億円)を記録すると予想されている。

「供給制約」、一転して「需要不足」

 しかし、米調査会社のIDCによるとスマホ市場は低迷している。22年4~6月の世界出荷台数は前年同期比8.7%減の2億8600万台となり、4四半期連続で減少した。

 IDCのリサーチディレクター、ナビラ・ポパル氏によると、スマホ業界で今問題となっているのは需要不足だという。「スマホ市場は22年初めに供給制約の問題に直面していたが、今は一転して需要不足に陥った」と同氏は指摘する。

 ガソリンや食品などの日用品の価格が上昇する中、多くの利用者は、今持っている機種を当面手放しそうにないとも指摘されている。世界最大のスマホ市場である中国では、「ゼロコロナ」政策によって、上海や深セン、北京などの主要都市でロックダウン(都市封鎖)が敷かれた。これが、サプライチェーンや物流網を混乱させたほか、消費を抑制し同国の経済全体に影響を及ぼした。

「プレミアム」がスマホ市場を救う?

 一方、アップルにとって明るい材料もある。香港のカウンターポイント・リサーチによると、価格が400ドル(約5万7000円)以上の「プレミアム」モデルは、売上げ減少に対する一定の抵抗力を持つという。

 22年4~6月におけるプレミアムスマホの販売台数は、前年同期比8%減少したものの、売上高は横ばいで推移した。低価格スマホはインフレ圧力の影響を受けている。こうした中、プレミアムスマホの市場全体に占める売上比率は60%となり、前四半期から2ポイント上昇した。

 加えて、プレミアムカテゴリーにおけるiPhoneの販売台数シェアは57%に上った。4Gから5Gへの買い替えが進んでいることがその要因だとカウンターポイントは指摘する。

 また、価格が1000ドル(約14万4000円)以上のスマホの販売台数は前年同期から94%増加した。iPhoneの多くはこのカテゴリーに入る。米国では、マクロ経済がプレミアムスマホの需要に与える影響が示されていないという。

 アップルは新興国市場でも好調だという。米グーグルの基本ソフト(OS)「Android(アンドロイド)」を搭載した端末からiPhoneへの買い替えが進んでおり、22年4~6月はその数が過去最高を更新した。アップルは新規ユーザーの獲得に成功していると、カウンターポイントは指摘している。

 (参考・関連記事)「米でiPhone比率が初の50%超え、サービス成長に寄与 | JDIR